第5話 2020年夏 弟おじさん?

「ここです、家」


「ちょっと待って…。君、るみさん?會田瑠美あいだるみさん?」


「なんですか?どうしてわかったんですか?気持ちわ、、、」


「ここ俺の奥さんの実家!會田りえ。きみの妹! 」


「そうです。りえは妹で…何なんですか?」


 わたしは信じられずにいたけれど、家の壁の色が若干変わっている。壊れそうだった郵便受けも、違う形になっているのにまた壊れそうになっている。月日の流れを感じてしまった。


「わたし、この世界にいて大丈夫かな?今のわたしはどうなってるの?」


拓斗たくとー!早かったね。今日実家にくるって言ったっけー?」


 家の中から女の人の声がした。


「誰ー?よく堂々と妻の前で並んで歩けるわねぇ(笑)」


 間違いない、りえだ。


「り、りえ!お姉ちゃんだよ!」


「はあ?は、はは、え?ちょっと、お姉ちゃん?お姉ちゃんだ!待って、お母さん、お姉ちゃん…!」


 りえが窓から首を引っ込めた途端、家の中で騒がしい音がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る