第7話 偽りのデート

連絡のやり取りはとっていたため、お互いのことはある程度知っていたが、初めて会うとなると緊張をした。

だが、お互いに初対面にもかかわらず、互いが好意を持っていたことは変わりない。


二人は手をつなぎ東京を観光した。



『ここがアルタだよ』


「へー、ここにタモリさんがいるのか」


『そうそう、アルタ前の企画とかはここでするんだよ』


「テレビでしか見たことなかったけど、来てみると意外と普通のビルなんだな」



他愛もない話をしながら、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。



その日の夜は東京に二人で泊まり、はじめてラブホテルを利用した。



“今日初対面だよな…”


そう思いながらも、二人は愛を重ねた


楽しいと思いながらも、心の隙間を満たすかのように必死だった。





この関係も長くは続かない。

はじめからそう思っていたし、長く続かせる気もなかった。



東京で一夜を明かした俺は、翌日も彼女と観光をして地元に帰っていった。




結局は彼女も恋愛ごっこを楽しむための一人でしか過ぎなかったため、目的を果たすとふいに彼女への想いは冷めていった。

また、彼女からの連絡さえも疎ましく感じていた。




数日後には連絡を取り合わなくなり、自然消滅とでも言うのだろう、彼女とは終わりも告げずに終わっていった。





彼女との関係が終わったからといって女性関係が終わったわけではない。

当然のごとく、どこの誰かもわからない人と、ひっきりなしに連絡を取り続け、恋愛ゲームを楽しんでいた。




今思えば、とてもクズらしい生き方だと思う。




そんな生活を続けながら、地元の大学に進学した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る