第5話 進展②

突然の別れだった。


高校生ながら、その突然の別れに心の整理もつかず、彼女に尖った言葉を浴びせてしまった。

今となっては反省しかない。


「なんで?理由は?」


聞いてもなかなか返事がこない。


「わかったよ。諦めるよ。」


本当は諦められないでいる心に嘘をつき、彼女との別れを決意した。


別れた理由は後に知ることとなるが、このときはまだ話してくれなかった。



彼女と別れたあとは、この世の終わりのような気分になった。


『誰でもいい、どんな人でもいい、俺のことを好きになってくれる人が一人でも多くほしい』

そんなことを思いながら、当時流行り始めだったSNS(mixiやモバゲー)に飛び込んだ。


当時のSNSは出会いの場のようなものだった。アドレスや番号などは交換規制などはなく、隠語なども流行っていた。


心の隙間を埋めるように手当たり次第に声をかけていった。


女の子の情報は、アップされているプロフィールでだいたいわかることができる。その情報をもとに、共通の趣味や同じ話題ができる人との連絡先交換をしまくっていた。しまくっていたという表現はさほど大袈裟でもなく、多いときでは4人ほどの女性と併用して連絡をとっていた時期もある。


たいていの女性との連絡先のゴールとしていたのは、告白成功までである。告白と言っても、ネット上だけでの付き合いを求めることで、リアルに会おうなんであまり考えてはいなかった。そういうこともあってか、連絡を交換する人の殆どは県外の同年代が多かった。


つまりは、どんな形であれ自分に好意を持ってもらい、電話やメールで『好きだよ』『愛してる』というような薄っぺらい言葉を求めていたにすぎない。


高校を卒業するまでに、何人もの『いわゆる彼女』ができ、幾度となく別れてきたかは、数としてはもう覚えていない。


その中でも一人だけ深く関わった人もいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る