第2話 出会い
高校生になったときである。
高校は地元のところへは通わず、隣町の高校に進学した。偏差値の差はさほど変わらない。自分が進学した高校の方がちょっといいくらいだろうか。制服も特段かわいいわけでもなく、かわいい女子がいるというわけでもない。
ただ、電車に乗り通学をしたいという希望だけで隣町のの高校への進学を決めた。
隣町ということもあってか、自転車で通えることも可能で、晴れた日には気分転換機でチャリ通をしたこともある。
入学した高校は、県内では有数の剣道部の強豪校である。中学からやっていたというわけではないが、ただ興味本位になにか道具を使い部活に励むということに興味があったというだけで入部した。
強豪校と言っても、全国常連校というわけでもない。
比較的田舎な県なもので、高校自体の数も少なく、強い高校がほぼ決まっており、全国大会へ行くのは何校かがまるで持ち回りをするように、毎年運の良かったチームが行くというシステムが成り立っていた。
そのうちの一つがうちの高校というわけだ。
高校に入ってから剣道を始めたので、当然メンバーになど選ばれることなく、大会では大抵先輩の荷物持ちとして役に立っていた。
「なんでこんな部に入ったんだろうな。夏休みも潰れるし、女の子との出会いも全然ないし。いっそのこと楽な部活に入ってしまえば楽しい高校生活が待っているのかな」
などと愚痴を漏らしていた。
同行していた先にいる先輩たちから、話し声が聞こえた
『なぁ、あの高校の新入生の女の子可愛くない?』
自分も目を向けると、凛とした姿勢で、きれいな髪の長い新入生がいた。
学校名を見ると地元の高校だった。
よく見るとその取り巻きには、同中で剣道部だった奴らがいた。
どうやら、その高校でも一目置かれる存在らしい。
自分も思わず見とれてしまった。
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