第10話 やっぱり
数日後、京都市上京区鞍馬口町のマンション。
京都新聞が、何日分も新聞受けに刺さったままになっているという通報が、京都府警察本部に入った。
地域警ら隊の巡査が、マンション管理人と共に、部屋に入って、若い女性の遺体を発見した。
口からの吐瀉府もあったため、小林と黒滝が臨場。
『管理人さん・・・
こちらの女性は、ご存知の
方ですか。』
とりあえず、当たり前の質問から始めた。
ところが、その返答で、京都府警察本部捜査1課が大騒ぎすることになった。
管理人の話しでは。
『ハイ・・・
このお部屋に住んではり
ます。
奈良崎郁美さんどす。』
勘太郎達の心配が、現実のものになってしまった。
勘太郎は、黒滝が乙女座を訪ねた時すでに、郁美の危険を口にしていた。
にもかかわらず、第3の殺人を防ぐことができなかった。
奈良崎郁美は、明らかに毒殺であった。
福井清治やジョンアレクサンダーの時のような。用意周到な犯行ではなく、いかにも荒っぽい。
着衣の乱れから、かなり抵抗した後が見受けられた。
それでも、おそらくキャシーとトニーの犯行だと予想するしかなかった。
新聞がたまり出した日の防犯カメラに、キャシーとトニーが映っていた。
捜査1課では、キャシーアレクサンダーとトニーマクガイアの行方を探すことに集中した。
国外に脱出した形跡はなく。
かといって、Nシステムこと、自動車ナンバー自動読取装置に、マーキュリークーガーが映ることもなくなっていた。
もちろん、キャシーのマンションにも、トニーのアパートにも姿がない。
『薬大の出勤と出席は、どな
いなってる。』
木田が、細かくなり出している。
『小林・・・
薬大総務課で、キャシーの
銀行教えてもらって、金の
出し入れ調べてみてくれ。』
本来は、個人情報なので、学校も銀行も教えるはずがない。
しかし、外国人で殺人事件の犯人となれば、話しは別になってしまうようだ。
それどころか、キャシーアレクサンダー宅の家宅捜索で、黒滝が預金通報を発見していた。
通帳記入するだけで事は足りる。
大学総務課では、最終の給料を支払ったかという確認のみ。
最終の給料は支払われて、すでに引き出されていた。
つまり、2人はすでに逃走資金がなくなっている可能性が高いということになる。
そんな中、トニーマクガイアのマーキュリークーガーのことを捜査しているとして、滋賀県警察大津警察署交通課から問い合わせが、京都府警察本部交通課に入った。
トニーマクガイアのマーキュリークーガーが1ヶ月前から、滋賀県大津市藤尾奥町の廃墟に停まっているということ、トニーマクガイアと連絡がつかないということ。
所有者確認への協力依頼という軽い形のものだったが。
京都府警察交通課では、Nシステム捜査に協力していたことから、マーキュリークーガー発見の報告を捜査1課に入れた。
『そうか・・・
藤尾奥町か・・・
盲点やったな・・・。』
滋賀県大津市藤尾奥町、名神高速道路の京都東インターチェンジの横に広がる丘陵地帯で、滋賀県大津市の名刹・三井寺の裏山にあたる。
それでも、他府県は他府県。
勝手に入って、捜査はできなかった。
しかも、マーキュリークーガーが停まっている廃墟は、かなり山奥の廃棄物置場。
3メートルほどの高さがある、鉄製の壁で閉鎖されているため、外からは見えない。
たとえ見えたとしても、廃棄物置場なので廃車と思われてしまうだろう。
そこで、本間が捜査1課凶行犯係全員を率いて出動。
通常パトカー10台と覆面パトカー6台、制服警察官40名と刑事20名で、廃墟を取り囲んだ。
プレハブ2階建ての建物で、2階から、キャシーとトニーが警察隊を睨み付けている。
にらみ合いのうちに、滋賀県警察からの応援部隊とアメリカ大使館ビリー審議官とジョンアレクサンダーが所属していた部隊の仲間が到着して。
普段は静かな山奥の廃棄物置場が騒然となった。
『それにしても、こんな山道
、外国人がなぁ・・・。』
本間と木田は感心していた。
『いや・・・
ここって、小関越えです
よね・・・
少し、歴史に興味のある人
やったら・・・。』
勘太郎、何かを知っている。
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