第6話 カプセル・・・

ジョンアレクサンダー氏の死因は、青酸カリによる毒物中毒となっていた。

『またかよ・・・。』

全捜査員は、また、カプセルによる時限爆弾的殺人と思った。

唯一、勘太郎だけは違和感を持った。

『時限爆弾でいいのなら、

 福井まで殺害する理由は

 何だろう。

 福井とジョンアレクサンダ

 ー氏の連続殺人と見たのは

 間違いだったのか。』

勘太郎は、佐武と小林と黒滝に頼んで、もう一度赤山禅院の遺留品捜査をすることにした。

ジョンアレクサンダー氏が倒れていた場所から少し離れていたが、ワンカップ日本酒の空きビンを拾った。

少し離れて、同じ銘柄の物で3本。

佐武と黒滝の簡易鑑定で、1本は福井の物。

もう1本はジョン氏の物。

と判断できた。

残り1本は、無関係なのか。

『犯人の物の可能性がある。

 持ち帰って詳しく調べる必

 要があるな。』

勘太郎は、3本のワンカップ日本酒を持ち帰って、詳しく調査するよう佐武と黒滝に依頼した。

福井の物から、強力なベンゾジアゼピン系睡眠薬が検出できた。

ジョン氏の物からは、シアン化合物を検出した。

『なるほど、福井を気絶させて

 その間に、ジョン氏のワン

 カップに青酸カリを。

 福井が目覚めないうちに、

 上御霊神社に移動して撲殺

 いう順番か。』

勘太郎の独り言。

『気絶させたら、何も殺す必要

 あらへんのちゃいますか。』

小林は、まだ少し甘いようだ。

『気絶させる前に、顔見られ

 とるやろう。

 たぶん、名前も名乗っ

 とる。』

殺人慣れした犯人なら、手がかりになりそうなものを残すはずはない。

しかし、今回は、ワンカップ日本酒という決定的とも言える証拠品を残してしまった。

よほど切迫した何かが起こったと考えるのが妥当。

3本目のワンカップ日本酒の空きビンにも、指紋はあるが、データベースとは一致しなかった。

とりあえず、ジョンアレクサンダー氏の交遊関係から調べることになった。

ビリー審議官によると、ジョンアレクサンダー氏はLGBT。

というか、両刀使い。

彼氏もいれば、彼女もいる。

当然ながら、相当な人数を調べることになるだろう。

皆一様に、心構えた。

ところが、またまた勘太郎だけが別のことを言い出した。

『お薬に詳しくて、入手でき

 る恋人関係にある奴。

 なんぼなんでも、そんなに

 多くはおらへんやろう。

 福井のビンに入ってたもん。

 そんじょそこらにあるお薬

 ちゃうやろう。

 ハルシオン。

 鹿児島鬼界ヶ島の事件で、

 薬学博士が使った薬や。

 最低限、それくらいの知識

 を持ってるという条件や。』

勘太郎の鋭い推理が、捜査員を楽にした。

しかし、気持ちとはうらはらに、なかなか疑わしい外人が、浮かんでこなかった。

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