第4話 連続
勘太郎の覆面パトカーがエンジンをスタート。
小林と佐武が車を交替していた。
佐武が、鑑識課員数人を掌握して動かすためだった。
小林は、尊敬する木田と勘太郎がいっしょなので、ウキウキしている。
しかし、あっという間に岩倉の町内に降りた覆面パトカーは、宝ヶ池国際会議場前のマクドナルドで停車して、予約していたテイクアウトを受け取り、赤山禅院に向かった。
岩倉から修学院の赤山禅院までは、もう、目と鼻の先。
数分で到着する。
赤山禅院の境内で、小林が、全員にハンバーガーとコーラを配った。
『皆さん・・・
木田警部補が、腹ごしらえ
してから、もう一頑張りお
願いします。
ということですので、遠慮
なくどうぞ。』
さすがに木田は、百戦錬磨の刑事である。
『えぇか・・・
勘太郎・小林・佐武もや。
お前らは、ゆくゆくは、部
隊を引っ張らなあかん。
隊員の体調は、隊長が管理
せなあかん。
特に、今回みたいな場合は
、全員が、福井への思い
で燃え上がっとる。
腹ごしらえも忘れとるんや。
無理矢理でも食わさなあか
んで。』
恐ろしい洞察力である。
勘太郎は、木田と共に、住職に挨拶に行った。
『ご住職、お久し振りです。
お元気でしたか。』
以前姉小路公康殺人事件でお世話になっている。
住職は、なぜかひどくあわてていた。
『あっ・・・
丁度良いところに。
真鍋さん、こちらに来て下
さい。』
と、誘導された。
苔むした石段の上に、人が倒れている。
勘太郎は、トランシーバーを取り出すと。
『サブちゃん・・・
休憩中にごめん。
奥の石段までお願い。』
『おい、勘太郎・・・
外人さんやぞ。
死んでるけど、まさか。』
木田が不安そうに外人さんの顔を覗きこんでいた。
佐武が、走って石段を上がってくる。
鑑識課員全員が、後ろに着いてきている。
『もう、じっとしてられへん
のやろうなぁ。
無理もない。』
木田は、全員に遺留品探索を依頼した。
数分後、1人の鑑識課員が佐武に近づいた。
『班長・・・
被害者さんの指紋採らせて
下さい。
サイドバッグ見つけました
ので、所持品確認してから
内容物確認します。』
黒滝という鑑識課員が、大きな身体のわりに、繊細な心配りをしている。
佐武は、黒滝と鑑識車両に戻って行った。
鑑識車両の後部ハッチを開けると鑑識機材が積み込まれていた。
『指紋照合や血液凝固時間く
らいやったら、ここででき
るで。』
黒滝の後ろに木田と勘太郎がいる。
いつの間にか、全員が集まって注目している。
約5分ほどで、佐武と黒滝がダブルチェックをして、サイドバッグのフタを開けた。
『あの外人さん。
木田警部補の予想が的中で
すわ。
ジョンアレクサンダーさん
です。
パスポートです。』
佐武が木田に、パスポートを手渡した。
霊柩車型の鑑識車両が西洋式の棺を積んで到着した。
全員でジョンアレクサンダー氏の遺体を清拭した上で。
『アレクサンダーさん。
和風しか、貴方のサイズの
お召し物がありません。
本部に着いたら、お湯でお
身体、綺麗にして差し上げ
ますからね。
貴方を殺した犯人は、俺が
絶対に逮捕します。』
そう言って、勘太郎が敬礼しながら、霊柩車のハッチを閉めた。
『勘太郎・・・
お前、えぇこと言うたけど。
全部日本語。』
木田の指摘に、全員の顔が綻んだ。
京都府警察本部捜査1課では、木田達の帰還を、てぐすねをひいて待っている。
当たり前である。
松ヶ崎に取り残された連中だ。
全員が、鞍馬寺にも赤山禅院にも行きたかったにちがいない。
しかし、事件は大きく広がってしまった。
『連続殺人事件になってしも
たなぁ。』
本間の呟きに、全員がギョっとした。
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