Coffee break♡♡祝福された神王妃の十四回目の誕生日

めちゃくちゃシリアスな展開からのこの展開で誠に申し訳ないのですが、誕生日なのは変えられないのでお付き合いください、……


――――――――――――――――――


「んー、おはようジャン……」


まだ少し眠そうな様子でクリスティンはジャンに言った。

彼はもうとっくに起きて着替えを始めている。

ので、とてつもなく色気に溢れている。

なぜか? それは、彼が上半身にシャツを羽織っただけの状態だからである。


「おはようジュリア」


ジャンはそのままの状態で、クリスティンの座っているベッドにゆっくりと近付いた。

そして、片膝だけベッドについて彼女のくちびるに甘い口付けを落とす。


「お誕生日おめでとう」


今日は、クリスティンの誕生日である。



「んふふ〜、ありがとうジャン!」


クリスティンは、ジャンに飛びついた。

広い背中に顔をうずめて、幸せそうな顔をしている。


「あのねあのね、」


「どうした」


「私ね、十四歳になったんだよ!」


彼はくるりと彼女の方を向いた。

高く高く彼女を抱き上げて、彼は再び深い口付けを落とす。


「ああ、大きくなったな。俺の可愛いジュリア」


「うん!」



「ティ、ティーナ……」


「あああ……」


「「誕生日おめでとう!」」


ディアネス神国の名門、レスト公爵家。

その本館に四人の男性の声が響く。

真ん中で微笑んでいるのは、神にも認められた美しさを持つ絶世の美少女クリスティン・レスト。

現在はクリスティン・セルヴィールである。

そしてその周りを取り囲んでいるのは父親であるレスト前公爵と兄であるオズワールズ、セシル、ゼルディラン。

みんな重度のシスコンなので久々に姿を見られて涙を流している。


「一足遅かったね。私とバジルとナイチンゲールは先に祝わせてもらったよ」


「くっそー、兄上ー!」


また長男アランドルももちろんシスコンのため何気に彼は優越感に浸っていた。

ちなみに一番に祝ったのはジャンだけであるが。


「朝から人の家で騒ぐな! ロゼッタが起きるだろう!」


あまりにも騒いでいたせいか、とうとうこの本館の主である公爵、クロフォードの怒りの声がエントランスに響いた。


「兄上だけの家じゃないじゃーん!」


「黙れ。当主は私だ」


ゼルディランの文句は瞬時に切って捨てられ、彼の視線は彼らの中心にいる人物に向いた。


「クロフォードお兄様!」


「……ティ?」


若干驚いたような顔をしたような気がする。

階段から駆け下りたクロフォードは自分の兄弟を退けてクリスティンの手を取った。


「誕生日おめでとう」


「ありがとうお兄様!」


やっぱりシスコンなので、いつもより表情が優しいような。


「あのー」


誰もいなくなったはずの階段の方から、声がした。


「ご家族でご歓談のところ大変申し訳ないんですけど、多分、どなたも私の存在を認識してらっしゃいませんよね……?」


白いドレス。

栗色の髪。

この家でおそらく最も目立たないのに最も地位の高い人。


「ロゼッタちゃん! いつからそこに!?」


光の神ライティル・モートレックの愛娘ロゼッタ・モートレック。

レスト公爵夫人ロゼッタ・ヴィオラ・レストである。


「だいぶ前から居たんですよ……その……旦那様が私が起きると仰ってたのは聞こえてました……」


「それは……すまない……」


「兄上のお嫁さんなのに気づかないなんて酷いね〜」


さらっとセシルがそんなことを言ったので口論になっているそこは放っておいてクリスティンはロゼッタに近付いた。


「オーロラちゃんお誕生日おめでと!」


「ありがとう!」


ふわふわの微笑みを浮かべながら二人は楽しそうに話す。


「光の使者の加護はいかが?」


「ぜひ!」


ひそひそとそう話しながら彼女たちはロゼッタの私室へと消えていった。


「口論している間にクリスティはもういないけど大丈夫なのかい?」


「大丈夫じゃない!」

「そんなわけあるか!」



「オーロラちゃんお誕生日おめでとー! オーロラちゃんの誕生日を祝うものは誰かー!」


「「最強に善良すぎで完璧すぎる神ー!」」


女神アフロディーテの乾杯音頭によって幕を開けた神々の宴会は、酒神ディオニュソスの宴会並みであった。

いや、この乾杯音頭はまあ本当は「〇〇の誕生日を祝うものは誰かー!」「善良なる市民!」というものなのだが、神なので彼らが勝手に神バージョンにしているだけである。


「オーロラちゃん美人すぎー! 私もー加護いっぱいあげちゃう」


そう言ってアフロディーテはさっきからクリスティンの額やら頬やらに口付けしまくっているので、ジャンから殺気が出ている。

抑えて抑えて。


「お誕生日おめでとうクリスティン。ほらね、すぐに誕生日が来たでしょう?」


「でもシェレネ様は半年後に十六でしょう?」


「あー、なんだか私だけ桁が違うんですけどー!」


すぐに誕生日が来る。

それは半年前にシェレネがクリスティンに言った言葉。

シェレネの誕生日の時だ。


「コレー様は神様ですから仕方ありませんよ。今でも十分お若いじゃないですか」


一人だけはるか昔から存在しているのでコレーは少し悔しそうである。


「ね、お二人共、あ、ルールーリアも! 一緒にりす見に行きませんか?」


「行く!」


誕生日を迎えた神王の妃は、今日も幸せそうである。


――――――――――――――――――


彼女の誕生日は昨日です。投稿し忘れました。すいません()

あと、乾杯音頭の神バージョンはありません捏造です(笑)

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