第18話黄色い星
「へえ、リラがそんなことあるんですか……聖妃様にお怪我がなくてやかったですけれど……」
「なんでよりによって“階段から突き落とす”を選んだんでしょう。五段程度だったら助かった可能性も……」
不思議そうに自分の妹が突き落とされた理由を考えるララとサラ。
あのままリラが落ちなかった可能性は大変高かったため謎である。
「だって~、普通確実に殺したかったら後ろとから刺すとかでいいでしょう? まあ私たち星が消滅しない限り死なないんだけど」
暴論である。
「そうね……後ろ、から、刺したら……私も……一緒に、させたの……に……」
再び頭を抱える四人。
このまま考えていても仕方がないので各自仕事に戻る。
ララはシェレネの部屋に残るのでそのままここに。
一番下の妹のエラは庭へ向かう。
サラは、シェレネが返しに行けなかった本を返しに行くために本を受け取った。
「私が代わりに帰してきますね」
「ええ……お願い……」
サラは、預かった本を持って一旦自室に帰る。
疲れたので一息つこうと思たのだ。
「よし、行きましょうか」
そばにあった紅茶を一口飲んでから彼女は歩き出す。
「図書館なんて最近行っていないし本少し見てこようかなあ……」
そういう彼女の足取りは軽い。
ふと、彼女は立ち止った。
「あれ……? 喉が何か変……」
口元に手を当てたサラはいきなり何かを吐き出すかのように咳をし始めた。
「何……?ごほっ、ごほっ、か、風邪……?」
どれだけたっても、咳が止まる気配はない。
一分ほど咳をし続けていた彼女は、腕をなにかが伝うような感触に襲われた。
慌てて手をはなししたサラは目を見張る。
「血?」
真っ白な大理石を血が汚す。
それを見た彼女は再び口を押え騎士団の医務室に向かって走り出した。
「あ、あの、ごほっ、すいません……!」
いきなり飛び込んできた少女にその場にいた全員が振り返る。
騎士団の医務室。
基本騎士団は男ばかりなので、ここにいるのも男ばかりである。
「えっと、どうしたんですか?」
奥で治療をしていた医師の一人が歩いてくる。
だが彼女の赤く染まった袖口を見て顔色が変わった。
「吐血……!? 大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃっ……なっ……げほっごほっ」
明らかに大丈夫ではない。
彼はサラを抱き上げるとシェレネの部屋へと急ぐ。
「聖妃様のお部屋は?」
「あ、あっち……」
「聖妃様! 失礼いたします!」
何の前触れもなく入ってきた医師にララとシェレネは驚いた。
そして、しんどそうに口元を押えているサラにも。
「サラ! どうしたの!?」
「さっき、呼んだ……ばっかりだけど……もう、一度……アポロン様を……呼んできて……」
再び呼び出されてきたアポロン。
困ったように彼はサラを見つめる。
「咳はすぐに落ち着くと思う。が……喉が傷ついているから二人目だけど安静に……」
王宮内でのこのような事件は、続くものらしい。
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