第14話アテナ様大好きな2人
「アテナ様アテナ様ー! 私アテナ様の隣がいいわ!」
「いいよアルテミス。ニケもおいで」
アテナの宮殿に戻った5人は、アテナの隣争奪戦をしていた。
おもに、アルテミスとニケが。
そんな二人を見てヘスティアが笑う。
「あらあらアルテミスちゃん、本当にアテナちゃんのことが好きなのねえ」
「むー、ヘスティア様、ニケもアテナ様のこと好きです!」
ニケがアテナの腕を掴んだ。
上目遣いでアテナを見つめながら彼女はアテナに問う。
「アテナ様アテナ様、アテナ様はニケのことが好きですか……?」
「ああもちろん。大好きだよニケ」
その様子を見て今度はアルテミスがアテナの手をとる。
彼女も上目遣いでアテナを見つめながら。
「アテナ様、アテナ様は私の事好きでしょう?」
「もちろん。アルテミスのことを好きでないわけがないだろう?」
アテナの言葉を聞いた2人は今にも泣き出しそうな顔でアテナに抱きついた。
「「アテナ様、一生ついて行きますぅー!」」
これを目の前で見せられているシェレネはこう思っていることだろう。
仲睦まじいようで何より、と……
月の女神セレネが明るく世界を照らす。
輝く月明かりの下5人は何かをしていた。
「そこよ! そこだわ! いい、いくわよ」
綺麗な弧を描いて矢は見事に獲物に的中する。
そう、彼女達がやっていたのは狩りである。
なぜ。
「シェレネもやってみる?」
「い、いえ私は……」
アルテミスは狩りの女神である。
だからといってこんな夜にやる必要は無いのだが、せっかくだからとやり始めたらしい。
「遠慮しないでいいのよ。こっちに来なさい」
アルテミスがシェレネに弓を持たせる。
「こうして引っ張って……放して!」
放たれた矢は近くの木に刺さった。
アルテミスが彼女の方を向いた。
「あなた上手ね。初めてで当たるだなんて。しかもお姫様なのに。すごいわ」
「え? あ、いえ、ありがとうございます!」
滅多に人を褒めないアルテミスに褒められ、彼女は嬉しそうな顔をした。
そんなシェレネを見てヘスティアが微笑む。
「よかったわね、シェレネちゃん。可愛いわ」
きらきら輝く美しい女神。
そんな4人が集まっているこの場に本当に私がいていいの……? とシェレネは少し疑問に思う。
だが彼女達が許してくれているのだ。
だから。
「ふふ、ありがとうございます。皆さんのこと大好きですよ」
あまりの可愛さに4人は膝から崩れ落ちた。
「あ、陛下。おひとりですか?」
「ジャン……我が妃は今日はアテナたちと一緒にいるらしい……」
1人だけで帰ってきたことに驚いたジャンにウィルフルは答える。
ジャンは気の毒そうな目で彼を見つめながら言った。
「アテナ様やアルテミス様のところですか。それは残念でしたね……では俺はジュリアが待っているので帰ります」
これみよがしにドヤ顔しながらジャンは廊下を歩いていく。
ウィルフルは自分の部屋に戻り、数秒経ってから叫んだ。
「なんで私だけ! 帰ってきてくれ我が妃よー!」
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