Coffee break♡♡ 公式?な神わざ里帰り!
「陛下、実家に帰らせてください」
シェレネがウィルフルに告げた。
その言葉を聞いて彼は焦る。
「え!? ぼぼぼぼぼ僕、ななななにかした?」
「あ、そうじゃなくてちょっと里帰りです。お父様とかにも会いたいし……」
彼女の答えを聞き、彼はほっとしたように息をついた。
「よかった…………いいよ。僕も行く」
「ありがとうございます!」
シェレネが嬉しそうににっこりと笑う。
その愛らしさにウィルフルは倒れそうになっていた。
というわけで、表向きは公式訪問として二人はリデュレス王国へ向かうこととなった。
「あなた〜、シェレネがウィルフル様とこちらに来るそうよ〜」
「シェレネが? そうか。大したもてなしは出来んが、みんな、準備を頼む」
「シェレネ、可愛くなってましたよ。元から可愛いけど」
王妃の言葉に、シェレネの兄レイ・リーリアスは自慢げに言った。
「なんですってレイ! ずるいわ! 私も行けばよかった、リェーデ姫の結婚式典!」
自分が代理で行かせたのに、王妃は悔しそうに声を上げる。
国王はそんな微笑ましい様子を眺めていた。
「我が妃よ。準備は出来たか?」
「はい……陛下…………」
ウィルフルの問いに彼女は答える。
「では…………行こっか!」
「ええ〜! ちょっと陛下、人が!」
いきなり口調が変わった彼にシェレネは驚きの声を上げた。
「大丈夫、ほら誰もいないでしょ?」
確かにさっきまでいた女官たちは誰もいなくなっている。
「何で行くんですか?」
不審そうに彼女はきいた。
「え? これこれ!」
元気よく言った彼が彼女を窓際に運ぶ。
「え……それって陛下の……天界行くようの馬車……」
「うんそうだね」
特に何も気にすることなく彼は答えた。
「それで行くんですか?」
「そうそう!」
「ええええええええええええええええええええ!!!!!?!!?」
元気よく答えた彼に、彼女は驚き声を上げる。
「はいはい、乗って乗って〜」
「うー、仕方ないですね……」
渋々といった様子で彼女は彼の隣に腰を下ろす。
「あ、ちょっと本気出すからちゃんと捕まっててね」
「はい~! ってちょっと! 速すぎです〜!!!!」
想像を絶するほどの速さに驚いた彼女はウィルフルの腕をぎゅっと握り締める。
ウィルフルは満更でもなさそうな顔をしていた。
「ちょっと陛下! なんで笑ってるんですか!?」
「だって僕のお嫁さんが可愛すぎて……」
しかも、彼女たちは陸路を飛んでいるだけである。
下を行く人々はあまりの光景に開いた口が塞がらないといった様子だ。
「陛下、こんなに速く行く必要あるんですか!?」
「いいじゃんいいじゃん、楽しいでしょ?」
笑いながらウィルフルは答える。
「もう知りません! 陛下のばかー!」
1時間ほどで、二人はリデュレス王国についた。
普通なら2、3日かかるところである。
「シェレネ! 会いたかったわ!」
扉が開いて、王妃が飛び出してきた。
「大きくなったな」
続いて国王も声をかける。
「そうだ。我が妃は王都の者にも人気なのだぞ」
「まあ、嬉しいですわ!」
急にウィルフルが惚気始めた。
「いつもこの可愛らしい顔で私を癒してくれる。こちらに連れてくることを承諾して頂き、有難い」
「まあ、愛されてるのね、シェレネ!」
いきなり始まった惚気話に、シェレネの顔は羞恥の色で染まる切っていた。
「陛下…………」
二人きりになったタイミングで、彼女はウィルフルに声をかけた。
「帰る時はゆっくりでお願いします!!!!」
ほんの少し怒ったように彼女は彼に言う。
「ごめんごめん」
「約束ですからね!」
あはは、と笑った彼に若干不安を感じた彼女だった。
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