1LDKの未来
「×××さんですか?」
「そうだけど、、、あなたは、なに?」
「いまは西暦何年ですか?」
こちらの質問には答えず、更にトンチンカンなことを聞いてくる。美少女フィギュアだからと言って、生々しく動いてくると萌えもあまり感じない。
「2020年だけど、、、」
「よかった、成功ですね。初めまして、私はHAL2030-A23といいます。」
そうは言われても、なぜ挨拶されているかもよくわからない。
「私は、2030年の未来からやって来ました。開発されたタイムマシンに乗ってここまで来たのです。」
にわかには信じがたい、が、フィギュアが空を浮いて話しているのは、たしかに見たことない。
「それはお疲れ様。でもタイムマシンに乗って、なぜ俺のところへ?」
「開発者一同、あなたに感謝するためです。」
言ってる意味がよくわからなかった。
「感謝って?」
「あなたは、自動掃除機を改良して、自動配膳機を作りましたね?」
それは身に覚えがある。
「あるが、あれは全くタイムマシンとは関係ないものだけど?」
「もちろんあの配膳マシーンは関係ありません。関係あるのは、そこから生まれた在宅エンジニアたちが作り出したオープンイノベーションです。」
たしかに、俺のブログを中心に新しいマシーンの開発や改良が流行ってはいた。
「あのムーブメントが、そろそろたしかドローンの活用も活発化したと思いますが、2030年にはタイムマシン開発までたどり着くのです。」
意外に早くタイムマシンまでたどり着くものだ、ここから10年しかかからない計算だ。にわかには信じがたいが、たしかに目の前で無機質なフィギュアが浮かびながら話している。
「なるほど、、、。」
とりあえず、思いっきりタバコを吸い込んでみる。吐いた煙は量は多かったが、直ぐに空に消えていった。
「それは、よかった。」
特に言うこともなく、それしか言葉が出なかった。
「では失礼します。」
来るのも急だったが、帰りも急だ。
「おいおい、随分急だな。なんかこの時代のものを見てかないのか?2030年にはこのウイルスのワクチンとかは開発されてるのか?」
「今回は性能テストですので、他に目的はありません。それに、未来の話は何もお伝えできないことになっています。どんな影響があるか、全くわかりませんので。それに、私はこれから逆に、きちんと元の時代に帰れるかのテストなければなりません。それでは。」
聞きたいことは山ほどあったが、来た時と同じ様に、タバコの煙の様に消えていってしまった。キッチンから、炊飯器の炊けた音だけが響いている。
頭の整理は追いつかないが、まだタバコは残っていたので、燻らせる。
「まあ、とりあえず人類は元気みたいだな、、、。」
飯食ったら、またなんか開発しよう。そう思って、とりあえずタバコを消して、ベランダから部屋に戻った。
1LDKの未来 @Masa0112
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