第4話
夏はうだるような暑さで、やる気をさながら奪う。
エアコンの効いた部屋の中で、だらしなくしてるのが最高の贅沢であった。
その日も布地のソファーで、寝そべっていると、電話がかかってきた。
「はい。もしもし」
「風馬?急なんだけど、今から俺の家に来れないかな?」
電話の相手は時生であった。彼は自分の苗字すら名乗らぬまま、話を進めた。どこか、せっかちで、ぬけているのである。
「いいよ。ちょうど、暇してたとこだし」
「そうか、そうか。じゃあ、3時にな」
用件をすませると、電話はきれた。壁時計に目をやると、ものの5分も経っていなかった。彼は無駄話をしない、こざっぱりとした性格をしていた。
僕は急いで身支度をして、暑さよけの帽子を、しっかりとかぶった。
外は照りつける太陽がなんとも眩しい。
Tシャツとハーフパンツが汗で、ひっつき、僕をげんなりとさせた。
空には見事なまでに、入道雲がたちのぼっている。
まさに夏模様であった。
この辺りは、軒並み、商店が不況で廃業していき、スーパーやら保育園だけで成り立っていた。そのため、街には、どこか活気が失われていた。
時生の家に近づくや、庭先で、彼の母親が庭いじりをしているのが目についた。庭は年中、手入れが行き届いていて、季節折々の草花で彩られていた。
時生の母親は僕に気づくと、「あら、久保田くん、いらっしゃい」と満面の笑みを浮かべた。
僕も笑顔で「おじゃまします」と返した。
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