第11話
〜高校入学当初の如月隼斗〜
薄汚れた壁。低い唸り声。何かを叩きつけた時の打撃音。色々な音が鳴り響く。そう
ここは留置所。
夕陽が沈んだ頃。俺はかつてない怒号をあげていた。
「父さん!!お前ほんとに何したか分かってんのか!!!」
当の本人はボケーッとしていた。
なんで、俺がここまで怒ってるのか。
時は1週間前に遡る。
-------リビングにて-------
ただいまー。ん?なんかやけに騒がしいな。
「あなた!やめっ...て...かはっ...」
んー?
「おーい、なにして...んの...」
俺がリビングに入った瞬間母さん口から大量の血が吐き出された。父さんが母さんの腹を何度も何度も刺していた。
「父さん!!!なにしてんだよ!!!」
俺は勢い任せに父さんの顔面に拳を振り抜いた。そしてそのまま父さんは動かなくなった。そして包丁を蹴って遠くにやり父さんを縛った。
母さんは目をひん剥いて、鼻血を出し、口から血を垂れ流し、そして痙攣しながら死んでいた。
俺はその場に項垂れた。頭の中が真っ白だ。母さんが目の前で死んだ。しかも父さんの手で殺された。頭の中にそれがずっとリフレインされた。
俺は警察を呼び、父さんと俺は警察署に連行された。母さんの返り血を大量に浴び、持っていた包丁の指紋から父さんが犯人だってのはすぐに証明され、俺は1度親戚の親父さんに預けられることになった。
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「おい、隼斗...」
------限界だった。
「もう。俺は止まらないと誓った。何がなんでも前を向く...って...うっ...うぅ、うわあああああああ!!!」
俺には荷が重すぎた。またもや俺はどん底に突き落とされた。
この騒動はニュースになり、実名報道されてるため俺の家族が犯罪者だってのが学校に広まったのだ。
周りは2種類に別れている。こいつは犯罪者の息子だから同じことをするって人と、被害者なのに向き合おうとしてるのを凄いと言ってくれる人。しかし、前者のほうが多い。クラスの奴らが俺に対して好意的ではないのはそういうことだ。ただ、弥生は俺の味方でいてくれた。それだけがほんとに嬉しかった。
------時間が経つにつれて俺は日常を取り戻していった。前の家に戻り、俺は全てを乗り越えるために安易に人を信じることをやめた。
「けど、ここまで戻ってこれたのもあの時のアイツの存在が大きかったな。」
俺は思い出していた。あの時、死なせてくれと懇願した少女。童話から出てきたかのような美少女が、光の失った目をして助けを求めてきたあの時を。
「やっぱり助けた側の人間である俺がくたばってなんかいられねぇよ。」
------あの時の女の子、元気にしてるか?俺は元気でやってる。いつかまた会えたら互いに成長した話をしような。
----------1ヶ月後
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