第5話



〜告白の前日、楓視点〜


「よ、よし!あとは、彼の下駄箱に入れるだけね!」


私は自分を奮い立たせながら学校へと向かった。



「...んー?あそこにいるのは...如月くん!?」


私は通学路にあるコンビニの前で泣いてる小さな女の子と話している彼を見つけた。


「そーかそーか、アイスを落としちゃったのか!」


「ふぇぇぇぇん!!せっかくお手伝いして貰ったお小遣いで買ったのにぃぃぃ!!」


なるほど、あの子はアイスを落としちゃったから泣いてるのか。彼はどーするのだろうか??


「あ!じゃあさ!僕とじゃんけんをしようよ!」


「ふぇ?じゃんけん...?」


女の子は首をコテン?と傾げながら涙目で聞いた。


「そう!僕に勝ったら好きなアイスを1個あげる!」


「え!?ほんと!?やるやる!!!」


彼はなんとジャンケンをやり始めた。これで負けてしまったらまた泣いてしまうのでは?と思った。


しかし、私は次の瞬間に口角を少し上げてしまった。


「あー!負けちゃったぁ!!よし!何でも買ってあげる!あっ!僕用事があるんだった!!じゃあ、200円あげるから好きなの買っておいで!またね!!」


「あ!お兄ちゃんありがとぉ!!!」


手をぶんぶん振りながら満面の笑みの女の子。


彼はバレないように後出しで負けてあげたのだ。それを見て私は彼の優しさに再度惚れ直したのであった。




-----------------放課後-------------------


誰もいないことを確認した卯月は1人何かと戦っていた。


「よし、入れるわよ...入れてやるんだからっ...!!」


と、心に決めた。その時


「お!卯月じゃないかぁ!!」


こ、この声は!!!


「睦月先生...?」


隼斗くんのクラスの担任である睦月先生(むっちゃん)が、私のところに満面の笑みで走ってきた。これは嫌な予感が...


「はぁはぁ、ちょうど良かったぁ!!少し手伝って欲しいことがあるんだ!今から大丈夫だよな!」


「えっと、あの少し用事が...」


「大丈夫だ!よ!な!!」


私は...


「あの...」


「な!!」


この先生が...


「はい、大丈夫です...」


嫌いになりそうですっ!!!!


ムスッとした顔で睦月先生の隣を歩く卯月なのであった。



〜隼斗の教室にて〜


------------「なぁ!隼斗!今日の放課後ゲーセン行こうぜ!」


「やだよめんどくさい。お金使いたくない。カロリー使いたくない。寝たい。バイバイ」


今日は体育でコケたし。むっちゃんに頼み事されたし、授業で寝てたら当てられるし、散々だよほんとに。。。


「そーかよー、じゃあな!隼斗!」


「おう」


うん、帰って寝よう。。。




----------はぁ。彼の下駄箱には鍵がかかってしまった。もう。泣きたい。


ここに1人、この世の終わりかを彷彿とさせるような絶望の表情を浮かべた生徒が佇んでいた。



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