第3話



「おーい隼斗ー!そっちは出来たかー?」


「麺は茹で上がりましたよ店長!」


「おぉ!速いぞ!助かるわ...」


「味噌ラーメンと醤油ラーメン一丁ずつね!」


「「「はいよー!!!」」」


この活気のいい店はどこかって?ここは俺のバイト先のラーメン屋だ。親戚の親父さんが経営してるところで、高校に入ったらここでバイトさせてくれって元々頼み込んでいたのだ。


従業員は俺を含め4人。そんなに大きな店じゃないからこれでも客は結構回る。しかし、代わる代わる客が入ってくれるおかげでみんな汗まみれだぁ。。。


「おい隼斗、お前そろそろ休め?」


「え?いや、俺はまだまだ大丈夫ですよ?」


分かってないなぁ店長!!俺は無敵なり!!!


「お前...今日なんかあったろ?」


------ギクッ


「...そんなに、わかりやすい反応されてもな。」


「え、俺ってそんなに顔に出てました...」


「出てたよー!もー、隼斗くん今日は特に表情がすっごい固いもん!」


え、そのいつも表情固いみたいな。うん。知ってたよ。うん。


この人は同い年で違うクラスの神無月美穂。天真爛漫でこのラーメン屋のマスコット的存在だ。可愛いのに天然って言うもう属性がずるいよね。羨ましいことこの上ないやいっ!


「美穂さんまで...大丈夫ですよ!俺は元気なんであと閉店まで30分頑張りましょう!!」


「その見た目と明るさをもっと学校で出せばいいんだけどなっ!」


「ちょっと仙道さん!!」


俺はバイト先では前髪を上げてオールバックにしてタオルを巻いている。接客もするため声色もワントーン高いかもしれない。その姿は割とみんなに気に入られてて、美穂さんも学校でもそれで行けーってうるさい。だって、ブスが調子乗んなって言われるの怖いもん。ぴえん。


------キモっ。


っと、そんな声が聴こえた気がしたが煩悩退散煩悩退散。




------「あなたの事がずっと好きでした!私とお付き合いしていただけませんか?」


帰路に立った俺は朝の事を思い出していた。


「へ!?!?!?」


「そのー、お返事を聞かせてもらえないかしら?」


いーやいや!まてまて。この人が俺に告白してきただと!?おーっとジョージ落ち着け、


「おい!隼斗!コイツ絶対裏があるって!!お前みたいなアホに好かれる女なんぞいねえわ!」


そんな言い方はないよジョージ。


「でもさ、表情はほんとっぽいよね。どこが好きなのか聞いてみたら?」


マイケル、お前はいつも優しいよ。。。

うん、ごめん、妄想が過ぎたよ。戻るね。


「っ、でもさ!具体的にどこを好きになったのか教えてほしい!」


「いいから、私はあなたからのYESかNOを聞きたいの。好きになった理由はそーね。あなたならわかるんじゃないかしら?」


へ?どういう事だ。俺が知ってるような口ぶりだよなそれ。


「まあ、今のあなたには考えても分からないみたいね。その理由が分かったらお返事と共に答え合わせをしましょう。それじゃあまたね。」


そう言って手を振りながら屋上から去っていった卯月さん。その姿が光に反射して、さながら一輪の花のように美しくて俺は少しの間惚けてしまった。

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