第1828話 それは特異かはたまた
(駄目だ……。もう『
シギンは煌阿が発動させた『
(未だに奴は目を覚まして居らず、今も『
これより『魔』の概念の一切が使えなくなるだろうと判断したシギンは、残されている時間で最後に自身がする事を自衛ではなく、エヴィを一緒に封印されてしまわぬように、妖魔山の頂の神斗の建てた小屋周辺に向けて保管している空間から放り出すのだった。
間一髪エヴィを巻き込まずにすんだシギンだが、次の瞬間にはもう煌阿の封印技法によって『魔』そのものを封じられてしまうのだった。
「そこで大人しく見ているがいい、卜部の血を引き継ぐ人間よ」
そう言って『魔』の技法の一切を使えなくなったシギンに手を翳すと、無詠唱で何かを発動させる。
――それはシギンが使っていた赤い真四角の『結界』だった。
どうやらその場から逃げられないように、動きを封じる目的で放ったのだろう。
『
「それは私の術か……。どうやらこの『結界』にしてもそうだが、お前は
閉じ込められた挙句に『魔』を封じられたシギンだが、冷静さを失わずに先程までと同じ態度のままで、煌阿にそう尋ねるのだった。
「ああ、お前の察する通りだ。別に俺が『結界術』や『封印技法』の知識や心得があったわけじゃないが、物心ついた頃から何故か、相手の使う『魔』を直接受けた後は、そういうモノなのだと理解した上で俺も扱えるようになった。だが、仕組みそのものを理解しているわけではないゆえ、一度発動させたら後はもう解除の仕方も存ぜぬがな」
「なるほど……」
質問を行ったシギンは煌阿の返答に頷くと、静かに思案顔を浮かべ始めた。どうやら彼の中で新たな『魔』に対する疑問が生まれてしまった瞬間のようだった。
(どうやら本人すら『
シギンは閉じ込められた『結界』の内側で色々と試そうとしたが、その全てが使用出来ない事を改めて理解して深く溜息を吐くのだった。
「まぁ、お前は後で俺が長きに渡って過ごした大変居心地のいい城に連れて行ってやるさ。ひとまずそこで大人しく俺のやる事を見ているがいい」
煌阿は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます