第1242話 優先順位と全幅の信頼
現在ケイノトの門前では元『妖魔召士』組織に所属していたヒュウガ一派と、妖魔退魔師の最高幹部とされる『三組』の組長『キョウカ』の持つ『三組』の妖魔退魔師達が戦闘状態に入ろうとしていた。
この場の指揮官はどちらも副官と呼べる者達であり、この一派のトップである『ヒュウガ』の姿も妖魔退魔師の『三組』の組長『キョウカ』の姿もこの場には居ない。
そう仕向けたのが何を隠そう『ヒュウガ』張本人であり、キョウカ組長は彼の策略で現在は南の森で別の妖魔召士達と戦っている最中であった。
『妖魔召士』側が先手を打って放ってきたランク『4』の『狗神』、凡そ数十体を撃退して見せた妖魔退魔師達だったが、この場に続々と現れた『妖魔召士』顔ぶれの中に天狗の『
これがまだ単なる『妖魔召士』達だけであったならば、これだけ人数ならば物の数の内には入らないといえただろうが、ヒュウガ一派の『妖魔召士』達は禁術を当たり前のように施してくる輩達である為、中位ランクの妖魔であっても高位と呼ばれるランク帯までに能力を引き上げて来る事が予想される。
もし元からランク『7』はあると定められている『王連』などに外法を用いられてしまえば、他の『妖魔』や『上位妖魔召士』も居る手前、流石に幹部が揃っている『三組』の妖魔退魔師達でも討伐は不可能に近い。
この状況を打破する事や、ここに派遣された目的であった奴ら一派のトップに居る妖魔召士『ヒュウガ』の元まで案内させる為にまず優先すべきは『キョウカ』組長が、ここに戻って来るまで耐え忍ぶ事である。
それを踏まえた上でヒサトが懸念に思っている事は、あの最奥に居る指揮官『ジンゼン』であった。
(あの最奥に居る『妖魔召士』こそは、あの『王連』とかいう天狗の妖魔を『式』にしている事で有名な男の筈だ。何故今使役をしていないのかは分からぬが、当然奴が使えぬという筈はないだろうから注意が必要だ)
天狗の妖魔をすでに使役していたならば、最優先で部下達に対処させるところではあるが、理由は不明だが出してない今の状態であれば優先すべきは『式』を出していない妖魔召士を確実に潰して、周囲の妖魔と妖魔召士の捉術と魔瞳に警戒を行うべきだと『ヒサト』は考えるのであった。
「お前達、初撃を行う為の最初の行動が肝心だ。既に奴らは多くの妖魔を使役しているが、まずはそいつらを無視してあの『妖魔』を一体も出していない妖魔召士から狙え! 確実に仕留められる時に仕留めないといつ『式』を呼び出されるか分からん。いいか? 奴らの狙いはあくまで『退魔組』であることは間違いがない。確実に町人を襲わないという保証はないが、それでもここに居る俺達を無視して身を守るのに必要な妖魔達をわざわざ町の中へは向かわせない筈だ」
「各個撃破を行うという事ですね」
「そういう事だ。こちらが動けば奴らは間違いなく『式』や『魔瞳』を用いて防ごうとしてくるだろう。だからこそまずは先手でこちらから打って出る。攻撃に転じさせずに防御に徹しさせている間に数を減らすのだ!」
「「了解しました」」
ヒサトは部下達に作戦を伝えた後、再び『式』を出さない少年を一瞥した後に視線を『ジンゼン』へと向ける。
(何か作戦があるのかもしれないが『王連』を出される前に、ある程度の勝負をつける。キョウカ組長が合流を果たせば、後の事はどうにでもなる筈だ……)
キョウカ組長ならば『王連』を使役されても何とかしてくれると全幅の信頼を寄せるヒサトは、今自分達が出来る事として、耐え忍ぶ為に攻撃に転じようと抜刀している得に『天色』のオーラを付与させるのであった。
(よ、ようやく俺の中の魔力が感じ取れた。だ、だが、こ、こんな微弱なモノが俺様の魔力だと!? つ、つまり俺の魔力の最大値が少なすぎて、普段通りの感覚で探れなかったという事かよ……?)
自身の魔力を感じ取れないと焦り嘆いていた『キネツグ』だが、ようやく少量ではあるが自身の魔力を感知する事が出来たようだ。そして確認が取れた事で自分自身が如何に危うい状態なのかという事を認知した様子であった。
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