第1232話 ヒュウガ一派の新たな初陣
「ヒサト副組長! 空を見て下さい!」
「ん……、何だって? 空だと……?」
キョウカ組長を見送って数時間後。ここのところ体調が芳しくなかったヒサトは、少しだけ体を休ませようと考えた矢先に部下の隊士に声を掛けられるのだった。
「お、おいおいおい!」
何とキョウカが向かった南の方角の空から、大きな鳥に乗った人間達が数多くこちらに向かって来るのが見えた。
どうやらただの鳥ではなく、あれは『妖魔』だと気付いたのはその鳥に乗っている人間達が、皆一様に紅い狩衣を着ていたからであった。
つまり単なる鳥でも野良の妖魔でもなく、あの空を飛んでこちらに向かってきている集団は『妖魔召士』とその妖魔召士が使役している妖魔の『式』だと言う事である。
「くっ……!! 『ヒュウガ』一派の妖魔召士だ、全員戦闘態勢に入って抜刀しろ!」
ヒサトは大声でそう告げると、妖魔退魔師の『三組』の幹部達は一斉に帯刀している刀を抜いた。
……
……
……
「ヒュウガ様! ケイノトの門前の最後尾に居るあの男は『ヒサト』と呼ばれている『三組』の副組長の男です! 前までここには居なかったのですが……。やはり時間と共に増援が増えていっているようです」
そうヒュウガに向けて報告を行ったのは、先に洞穴に潜伏して妖魔退魔師の動向を窺っていた『キクゾウ』であった。
彼はヒュウガと合流する前から、何やら気になる気配を放つ男が『ケイノト』に近づいてきていると報告をしていた。どうやらその警戒していた男というのが、ヒサトと呼ばれる男だったのだろう。
「そうですか。どうやら急いだ方が良さそうですね、折角キョウカ殿を引き離したのです。この機会を逃すわけにも参りませんしね。全員出せる戦力は惜しみなく出しなさい!」
空の上を移動しながらヒュウガがそう命令を下すと、一派の者達は一斉に『式』を空から放ち始めた。
まるで号外を知らせる紙吹雪を空からくまなく投げちぎるように、妖魔召士の『式札』が放たれると次から次に音を立てながら妖魔の『式』が放たれていく。
狗神に小鬼や鬼人を含めた妖魔が空から地へと降り立ったかと思うと、種族ごとの妖魔は上手く統率を取りながら、ケイノトの門前を目指してひた走る。
そして空を飛べるあらゆる種類の妖魔達は、次々と姿を現した後に今度は地面へと向かわずにそのままヒュウガ達を乗せている鳥と並走するように空を泳ぎながら、こちらもケイノトの町を見据えて飛翔するのだった。
「相手が『
そう言ってヒュウガは背後の者達に視線を送ると、鳥に乗って後ろをついてきていた数人の『妖魔召士』達がヒュウガの視線に頷いた後に地面に向けて下降していく。
「あれだけの数の『式』と『妖魔召士』が要れば問題はないと思いますが、念には念を入れておきましょうか。貴方もここに残り彼らの指揮を執りつつ、例の副組長さんとやらの相手をして差し上げなさい」
直接指示を受けた男は『ジンゼン』であった。代表的な『式』に『
「分かりました。しかし彼ら妖魔退魔師との戦闘で『王連』を使役するとなると、流石に手加減などが出来ないかもしれませんが、宜しいのですか?」
「ええ勿論。是非
ヒュウガがそう告げると、ニコリと笑ってジンゼンも頷くのであった。
「ジンゼン、油断するなよ? ここに居る連中、それも特にあの門前に居る男は
ヒュウガの横の空を『式』に乗って並走していた『キクゾウ』は、自分の直の配下であった『ジンゼン』に警告をするようにそう告げる。
「分かっております」
ジンゼンはキクゾウにそう告げながら、視線を『ケイノト』の門前に居る『ヒサト』へと向けるのだった。
「では我々はこのまま退魔組へ向かいますので、全て片付いたら貴方が指揮を執って、全員で加護の森に向かいなさい」
「戻って来るであろう『隻眼』の足止めをせずに我々も『加護の森』へ向かってよろしいのですか?」
「ええ、そうです。時間を掛ければ掛ける程、こちらに向かって妖魔退魔師の本隊が押し寄せてくるでしょうからね。イツキ達と合流を果たした後に一度しっかりと今後の事を考える必要がありますから、貴方達も戻って来るようにして下さい」
「分かりました、ヒュウガ様。それではそのように」
主であるヒュウガに同意を示した後、ジンゼンも先に降り立った他の妖魔召士達と同様に、鳥の『式』に下降の指示を出して去って行った。
「さて、キクゾウ? 我々の新たな組織の初陣ですねぇ?」
「はい! 相手は妖魔退魔師組織! 相手にとって不足無しですね」
「ふふっ……、そうですね。では存分に名乗りを上げさせて頂きましょうか」
そう言ってヒュウガは口角を吊り上げながら襲撃を開始させるのであった。
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