第1195話 ミスズの叱咤激励
「ヒュウガが『
エイジは納得するように頷きながら、ミスズに確認をとるようにそう口にするのだった。
「理解して頂き感謝します。それともう一つ聞いておきたい事がありますが、貴方がた妖魔召士組織の者達と、ヒュウガ一派の連れている妖魔召士達は、今後はもう何も関係がないモノとしてこちらも見て宜しいですね?」
「ああ……、当然の事だな。
「
このミスズの質問の意図だが、今後の彼らに対して行う報復に対して『妖魔召士』組織の介入が無いのかどうかを確かめる事の他に、既に『サカダイ』の町でシグレが妖魔召士を殺めている事についての今後の『妖魔召士』組織からの
当然この事に関してまだミスズ達は、妖魔召士側に伝えていない事である為に、ゲンロクやエイジ達は知る由もない事だが、今後その事がこちらでも出しているであろう諜報の者から報告が伝わり、明るみに出たとしても既にこの場でミスズは言質を取る事が出来た為に、真相が分かったとしても闇から闇へと処理されるだけになったのであった。
「それではこちらも伝える事と報告する事、それに聞いておきたかった事も済ませましたし、そろそろお暇しようと思います」
妖魔召士組織の介入がなくなった事を把握した以上、後はヒュウガ一派を捕縛して事実確認を行い、黒であれば断罪を行うだけである。
その前準備を終えたミスズは本部へ戻る事にしましょうとばかりに、ソフィに視線を送りながらその場で立ち上がるのだった。
「ミスズ殿。今回の事にしてもそうだが、妖魔召士組織がお主らの組織に手を出そうと画策したのも実行を起こしたのも元はと言えば『ヒュウガ』一派と『イダラマ』の一派だと言う事実は覚えておいて貰いたい」
もう本部へ戻って今後の事を考え始めていたミスズだが、突然のエイジの言葉に思考を一時的にとはいっても停止させられるのであった。
「それは『妖魔召士』組織は本当は何も非が無かったと仰りたいのかしら?」
ずれ落ちてくる眼鏡をくいっとあげながらミスズは、堂々とした態度でミスズを見つめるエイジに視線を合わせる。
「そうは言ってはおらぬ。ヒュウガやイダラマが組織を離れる事となり、好き勝手にし始める事を放っておいた組織の長であるゲンロクにも責任はあるし、そのゲンロクが先程口にした通りに小生も組織から離れて自分本位に動いていたのだからそれを咎める資格はないだろう」
どうやらゲンロクに言われた事で、エイジの中にも変化が訪れた様子であった。これまでは他者に同じ事を言われたり、はぐれと口にされたとしても、否定や怒る事をしていても認める真似をソフィ達の前では決してしなかった。しかしこの場でミスズに対してエイジは、それを受け入れた上で話を続けようとしているようにみえた。
「だが、過去から受け継がれてきたこの『妖魔召士』という組織は、あくまで妖魔に悪行を起こさせずに善を積ませるために存在する組織なのだ。お主らと争う為に存在しているわけでも、また力を誇示して愉悦に至ろうとするような下劣で腐っている組織ではないのだ」
ミスズはエイジの言葉を聞いて、ゆっくりとその場に座り直した。どうやら何か彼女の中で言わなければならない事が増えたという意思からの行動なのだろう。
「それを『妖魔退魔師』組織の副総長である私の前で説きますか。貴方は先程自分で自分本位で『ゲンロク』殿の組織を離れていたから組織の事に対して、何かを口にする資格は無いと申しましたね? 正しくその通りだと思いますよ。失礼ですが私から見れば、貴方は
これまでとは違い『ミスズ』は何処か苛立った様子を見せ始める。
「貴方がダメだしを行ったゲンロク殿は、確かに組織を指導する立場に居る者として色々と問題がある人物ではありますが、それでも必死にこの組織の事を何とかしようとしておられる。それに対して貴方は一体何をしてこられたというのでしょう? この場に戻って来たのであれば、過去の組織の栄光を口にするだけではなく、実際に何か
彼女がこの場で行った発言の数々の中で、一番大きな声でエイジに対してそう言い放つミスズであった。
――本当に変わろうと思っているのならば、私の言葉を利用して組織に戻れ。
これは妖魔退魔師副総長ミスズによる、元妖魔召士組織エイジに対する発破を掛ける意味での優しさを込めた
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