第1019話 キネツグの式、虚空丸
「へっ! 流石は天才と呼ばれたエイジ殿だ! 長らく第一線から退いていた身でここまで恐ろしい威圧感を放たれちまうと、現役の俺達でもやるべき行動が正しいのか二の足を踏んじまう」
エイジはその言葉を全て信用する程、自分を含めた『
『
野良に生きる恐ろしい妖魔達と、毎日のように戦い続ける『
そんな『
キネツグは既にエイジを相手に何らかの作戦を立て終えていて、後はこちらの油断を誘って自分のやるべき作戦。それを行うタイミングを図っているといったところだろう。
(さて、互いに『
あくまでエイジは自分から仕掛けるのではなく、相手からの行動に対して対抗するというスタンスを取るようであった。
キネツグの観察を続けていたエイジだったが、そのキネツグの目の色が
(小生を相手に
そして警戒するエイジの前で、遂にキネツグは新たな一手を繰り出した。
取り出した『式札』を左手に一枚、右手に二枚持ち替えると、左手に持つ一枚を投げて『式』を展開させるのであった。
(成程……。先程の『
ボンッという音と共に、札が光を放つと一体の妖魔が出現する。
「でやがれっ! 『
「……」
出てきたのは、黄土色に近い黄色の身体に黒と白の縞模様が目立つ、虎を人型にしたような妖魔であった。
【種族:妖魔 名前:虚空丸 戦力値:1480億 ランク:3.5】
「むっ……!」
元々は虎の妖魔なのであろうが、人型をとっている事でエイジは直ぐにこの妖魔がランクが『3』以上なのだと理解する。
そして突然の『式』の出現で少しだけ警戒心を強めるエイジを見て、即座にキネツグは強めた『
(よしっ! 手筈は整ったぞ。結界を無事に張れた事で、一瞬で虚空丸を消滅させられるという危険性は無くなった)
しかしそれでもエイジが相手では余り時間は無い。直ぐに禁術である『
『
――捉術、『
キネツグは『
「ぐがががっっ!!」
突如使役されて無言で周囲を見渡していた虚空丸だったが、彼を使役した妖魔召士『キネツグ』の 『
しかしその光景を見たエイジは、突然目の色を変えた。
「お主……! まさかお主までもが易々と禁術に手を出していたか。一人前と認められていない退魔士であればまだしも、曲がりなりにも『
「へっ! 使える力を使わずにやられる馬鹿はいねぇだろ! 古くせぇ習わしを大事にしながら、敗北しろエイジ殿!!」
「ゴルルルゥッッ!」
先程まで涼しい顔をしていた人型の虎の妖魔であった『
【種族:妖魔 名前:虚空丸 戦力値:2960億 ランク:4.5相当】
「『
エイジは先程までとは別人に見える程に怒りを顔に滲ませる。そしてエイジの目もまた先程のキネツグのように『
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