第813話 VS動忍鬼2
空から漆黒の大きな翼を羽ばたかせて大魔王が向かってくる。
『
「ああああっっ!!」
対するソフィは上空から加速した速度そのままに、真正面からこちらに向けて鉈を振り回そうとする『
――インパクトの瞬間。周囲に恐ろしい衝撃が駆け抜けていき、大地の裂けた箇所から亀裂が更に広がっていく。
その中央に居る『ソフィ』と『動忍鬼』は凡そ2秒程ではあったが、力と力が拮抗して動かなかった。
『
――が、しかし……。
(――素晴らしい……。もっと我を楽しませてくれ)
聞こえなくなった筈のソフィからの『
「ぐおおああっ!?」
――次の瞬間。
ソフィの周囲を纏うオーラが金色だけでは無く、鮮やかな『
ドォンッ!! という衝撃音と共に、動忍鬼は吹き飛ばされていき、その身体で木々を次々と薙ぎ倒しながら森の中を突き進んでいく。もはや『加護の森』の一部は完全に更地と化していく。
やがて『
大きな樹だった木の根元で『動忍鬼』はがくりと首から地面に落ちていき、そして完全に気を失って倒れるのだった。
…………
ソフィはゆっくりと意識を失った『
「うむ。命に別状は無い。それにどうやら、
それならばと『ソフィ』は、そっと寝かせている『動忍鬼』に手を翳して魔法を唱えた。
――神聖魔法、『
温かな光が動忍鬼を包み込むと『
今のソフィ程の魔力があれば、魂が残っている間であればだが肉体を修復し蘇生さえ可能とするだろう。
…………
「……うっ!」
ゆっくりと目を覚ました『
「目を覚ましたか? 傷は治ったと思うが、気分はどうだ?」
「え?」
まだ意識が混濁しているようで、自分がどうなったのかさえ分かっていない『
やがて意識が覚醒していき、自分の身に何があったのか思い出すと、その場で勢いよく立ち上がった。
「私、何でまだここに居るの? アイツに意識を奪われてまた暴れさせられた筈なのに……」
「話せそうなら、詳しく話してくれぬか? ここには我しか居らぬ」
ソフィは少しだけ足を曲げて目線を『
……
……
……
一方その頃『
「捕えられなかったのは残念だが、ひとまずは厄介な者を片付けられたのは大きな功績だろう。この事を『
空を飛びながら自分の素晴らしい未来を想像し、ニヤニヤと笑い始める『タクシン』だった。
しかしその上機嫌のタクシンの背後からタクシンに向けて一筋の光が迫って来る。
「むっ!?」
恐るべき速度で向かってくる光に気づき、タクシンは直ぐに『式』を消して空から落下しながら躱すと、器用に体を入れ替えて背後を見る。
するとタクシンの後ろからこちらに向かって、グングンと迫って来る人影が見えた。
タクシンは先程の二人組の一人が来たのを悟り、地に両手をついた後に体を起こして、大きく溜息を吐くのだった。
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