第801話 闘争本能に火が灯る
突如現れた二人組の人間だが一人は腰鞘に刀を差した剣士であり、鋭い眼光をソフィ達に向けていた。そしてその剣士と会話をしていたもう片方の人間は、差袴をはきながら狩衣を着ており、何やら左手に札を数枚持っており、最初にこの場に襲撃を仕掛けてきた者達と同じ狐の面をつけていた。どうやら全員が同じ国か、組織の者達なのだろう。
しかし最後に現れたこの二人は、現在のソフィの形態ではオーラを纏っていても『
「お主、奴等の戦力値は見えておるか?」
「ああ、どうやらセルバスの野郎は俺に黙っていたみたいだが、この世界はかなり厄介な世界のようだぞ。あの変な格好をしている方は大した事は無いが、もう片方の剣士は『
「組織の本隊? それは一体、どれくらいの強さなのだ?」
「ククッ……! てめぇが仕留めた奴等の事くらい覚えていやがれ」
『
「まぁそうだな。ソイツはてめぇの魔王軍でいえば『
その言葉にソフィは驚きながらも同時に期待感が増していく。
「ほう。それはこの状態の我の『
ヌーに『序列部隊』クラスの戦力値を持っている相手と教えられた事で、ソフィの中で目の前の謎の二人組に期待感が募っていく。大賢者ミラや『
ソフィによって選ばれし九体の魔王達。この九体の強さはいうに及ばずだが、更にその下に居る『序列一桁』に入る魔王達でさえ、その誰もが別世界では『圧倒的な支配者』として君臨が出来る程の強さである。
目の前の面をつけた者達は、その『序列部隊』に入れる程の戦力値を持っているというのだ。自分を脅かす程の存在の出現を心待ちにしているソフィにとって、それは第一ハードルを越えた者達だという事である。
戦う前の状態の為、実際本当に強いかどうかは分からない。所詮は戦力値というものは指標に過ぎず、戦い方がお粗末な可能性もある。しかしソフィが期待するのも仕方がないのは当然の事だろう。
ひとまずこの形態のままでは、相手にならないという事を悟ったソフィは、狐のお面を被った二人組を見ながら薄く笑うのだった。
自分達を見て不気味に笑うソフィや、先程同志達を退けたもう一体の存在を見て、狐のお面を被った二人組は警戒感を示し始める。
「中位の領域に居る退魔組の同志達や、高位の『式』を相手にあれだけやれる者達だ。ただの人間というわけでは無いじゃろうし、妖魔が人間に化けていると見ていいだろう」
「やれやれ……。ランク『3』相当の『尾持ち』の狐や、ランク『3』の『
お面を被った二人組はソフィ達を値踏みしながら会話を交わしていたが、徐々に戦闘の為に準備を整えていく。腰鞘に刀を差していた人間が刀を抜き、ヌーがおかしな格好をしていると評していた方の人間は、何やら持っている札から紫色のオーラのような物が現れ始める。
その様子に先程ヌーが退けた者達であろう、狐の面を被った者達が再びソフィ達を取り囲むように現れ始めた。どうやら目の前の二人組が、この場での代表格なのだろう。
「どうやら本格的に俺達と戦うようだな。やれやれ『ノックス』の世界に来て、早々に面倒な事をさせやがる」
再びヌーが『金色』を纏い始めながらそう言うと、ソフィは待ったをかけるのだった。
「クックック、嫌なら全て我に任せてもらってよいぞ? 少しばかり我も戦ってみたくなったのでな」
そう言うソフィだが、どうやら闘争心に火がついたのだろう。形態も通常状態で力を抑えているというのに、今のソフィを見てすら戦いたくないとヌーに思わせるのだった。
「はっ! そりゃいい。ならもう全部お前がやればいい。言っておくがお前がやられそうになっても俺は手は貸さんぞ」
口ではそう言うヌーであったが、ソフィがやられるなど毛ほども考えてはいない。
「クックック、それでいい。我がやられそうだと思えば、何処へなり行ってもらって構わぬぞ?」
(さて、ヌーの奴は奴らが『序列部隊』程のクラスと言っていたか)
ヌーは『序列部隊』とだけしか言っていない為に『一桁部隊』か『二桁部隊』なのかは詳細は分からない。だがソフィは心の中でそう呟くと『力』を開放し始める。
――そしてソフィの姿が、徐々に変貌していくのであった。
……
……
……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます