第683話 世界の支配者

 ソフィとフルーフは、お互いに、思いきり両者はその右手を突き出してグーの状態で叩き合う。


 その瞬間、ソフィとフルーフの居る場所に音を置きざりにした衝撃が響き渡る。

 しかし両者は同時に魔力コントロールを行って、。ソフィとフルーフの行った魔力コントロールは、まさに同一であり、一寸の狂いも無かった。


「クックック、見事! よく無事で居てくれた。我が友よ」


「ああ、我が友ソフィよ、お主と再び会えた事を神に感謝しよう」


 アレルバレルの世界とレパートの世界の頂点に居る大魔王達の数千年ぶりの邂逅であった。


「……全く、お主をどれだけ探したと思うのじゃ」


 ソフィとフルーフのにディアトロスは、声を掛けられずには居られなかったようだ。


「クククク、貴様も生きておったか老いぼれ」


「抜かせ。それはお前じゃ。全く、難儀な奴じゃな」


 フルーフとディアトロスは大笑いを始めたかと思うと、互いに顔を数秒間見た後、フルーフは口を開いた。


「心配を掛けたな、しかし何とか戻ってこれた」


「うむ、よくぞ無事でいた」


「今日は素晴らしい一日となろう」


 を持つ大魔王三体は、互いに笑みを向けながら再会を喜ぶのだった。


 その横でイリーガルやブラストそしてリーシャは要らぬ口を挟まずに、ぴしっと背筋を伸ばしながら支配者三人に敬意を払う。


 彼らとて古き時代から生きる十分に世界を支配を出来る者達ではあったが、その彼らから見てもこの三人とは器が違うと自覚しており尊敬をしているのであった。


(※ブラストはディアトロスを尊敬しながらも、イジるのが好きなのだが)


 誰も喋らない間があったが、そこへレアが申し訳なさそうに口を開いた。


「あ、あのぉ……、ソフィ様に大事なご報告があるのよぉ」


「……む? そういえばお主、リラリオの世界から帰還が遅かったが、何かあったのか?」


「そうであった。ソフィよ、今すぐにワシと共に『リラリオ』とやらの世界へ来てくれぬか?」


「何だ? 何があったというのだ」


「例の『煌聖の教団達こうせいきょうだん』が、リラリオの世界の『レイズ』魔国に集結して襲おうとしているようなのよぉ」


「何……じゃと!?」


 その瞬間、目の色が変わるソフィであった。


「詳しい話は向こうについて行動しながら話す。ひとまずは『リラリオ』の世界へ向かうからワシに摑まれ」


「……待て、ワシも付いていくぞ」


「私もつれて行ってください」


 ディアトロスとブラストが同時にそう告げると、イリーガル達も顔をあげる。


「それはならぬ。今この大陸にはステア達や新しく魔王軍へ加わった者達が居る。それに精霊達や人間界にも目を光らせなくてはならぬのだ」


 全員が再びリラリオの世界へと向かえば、精霊達や人間達を守れるものが居なくなってしまう。

 今は『煌聖の教団こうせいきょうだん』が勢力を伸ばした事で、魔界の魔族や魔王軍の魔族はほとんどその数を減らしてしまった。


 しかしここは『アレルバレル』の世界なのである。

 あらゆる魔界の大陸の支配者だった者達の傘下の者達が姿を隠している可能性がある。


 もしソフィや魔王軍の九大魔王の者達が全員姿を消してしまうと、何が起こるか分からない。この世界は単純な世界では無い。ソフィや九大魔王が居なくなれば好機だとばかりに、暴れまわる者達も少なからずいるのである。


 そんな時に彼らを止められる抑止力となる戦力値が1000億を越える大魔王最上位領域の『九大魔王』達が残らなくてはならない。


 イリーガルとリーシャはそのソフィの意図を汲み、大人しく一歩下がるのだった。


 だが、ブラストは一歩も退かなかった。いつもならばイリーガル達と同じように、ソフィの言葉に素直に従っていただろう。しかし今は少し、ブラストのような表情を浮かべていた。


「頼みます。俺をリラリオの世界へ『』の元へ行かせてください!」


「……」


「……」


 その言葉にソフィとディアトロスは、納得の行く表情を互いに見せるのだった。


 ……

 ……

 ……

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