第682話 ソフィ、友人と再会する

 中央大陸の少し離れた空から中央大陸へ降り立ったフルーフ達。


 フルーフの魔力を感知したようで、精霊達の住処の集落と街の間に居た者達や、魔王城から次々と魔族達が顔を見せる。どうやら彼らは少し前まで、中立の立場であった者達のようである。


 そして同じように魔王城から出てきていたステアは、フルーフの姿を見た後、イリーガルに声を掛けた。


「イリーガル様、その者達は一体?」


「ステア殿か。俺が結界を割ってしまったせいで、不安にさせたならすまない。こちらにおられるのは、ソフィ様の大事な友人であり、その横のレア殿はソフィ様の大事な仲間だ」


「ソフィ様の!? こ、これは失礼をしました!」


 ステアと数体の魔族達は、イリーガルの言葉に慌ててフルーフ達に頭を下げるのだった。


「イリーガルさん、この方達はぁ?」


「うむ。元々どの支配勢力にも属さずに生、きてこられた中立の者達で、今は我々魔王軍となった者達だ。そしてこのステア殿が彼らを纏めていた」


「お初にお目にかかります。このたびソフィ様の配下になる事を許されたステアと申します、以後お見知りおきを」


「レアよ、宜しくお願いねぇ」


「フルーフじゃ、宜しく頼む」


(フルーフ? 何処かでその名を聞いた事が……)


 ステアは二人と握手をした後、フルーフの顔を見ながら何処かで聞いた名だと考え始めるのだった。


 ……

 ……

 ……


 ステアと挨拶を済ませたフルーフ達は、イリーガルの後をついて魔王城の中へと入っていく。中はかつてフルーフが、この場所に訪れた時と何ら変わってはいなかった。ノスタルジックな気分を味わいながらフルーフはレア達と共に、城の中を歩いていく。


 ――そして玉座の間の扉を開くと、そこには玉座に座った大魔王ソフィの姿があった。


 ……

 ……

 ……


 少し時が遡り、ブラストがイリーガルとの【念話テレパシー】を切った直後であった。


「イリーガルが、お主の結界を割ったようだな?」


 玉座に座っていたソフィは、横に控えているブラストの顔を見ながらそう言った。


「ソフィ様。今イリーガルと一緒にいる方は、どうやら殿


「な、何だと?」


 ソフィは目を大きくしてブラストを見た後、直ぐに『漏出サーチ』で詳しくフルーフの魔力を探知する。


(確かにこの魔力はフルーフのモノだ! いつこの世界へ来たというのだ!)


 ソフィは玉座から立ち上がり、直ぐにフルーフに会いに行こうとする。


(こうしてはおれぬ。早くフルーフの顔を見たい!)


 しかしそこで『ディアトロス』に声を掛けられた。


「ソフィ。フルーフ殿はここに向かっておるのだろう? 外で立話をするつもりか? 少し落ち着いたらどうじゃ」


 どうやらソフィがフルーフの名を聞いてから、ソワソワしているのを見たディアトロスは、落ち着くようにとソフィを宥めるのだった。


「……うむ、その通りだな。しかし何千年ぶりだというのだ」


 ソフィは数千年もの間、フルーフを探し続けて来た。そしてそのフルーフの娘のレアと出会い、戦い、そして今は配下にしている。話をしなければいけない事が、山ほどあるのだった。


 そしてブラストを見ると、彼らしくない笑顔を浮かべながらソフィを見ていた。どうやらソフィが友人である『フルーフ』と再会する事が出来そうなのを見て、一緒に喜んでくれているようだった。


(嬉しいがブラストよ、お主のその笑顔は何か悪いことを考えているようにも見えるぞ)


 口角を吊り上げて、とでも言いだしそうな表情なのだった。


 そして扉が開け放たれて『イリーガル』達の後から『フルーフ』と『レア』の姿が見えるのだった。


 ……

 ……

 ……


「フルーフか?」


「ああ……! ようやく会えた、


 ……

 ……

 ……

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