第233話 冒険者ギルドの活性化
「馬鹿め……。お前らが何を考えているかは知らぬがソフィに手を出した時点で、お前達は終わりだぞ」
魔族ディアトロスはソフィの直属の配下にして、アレルバレルの世界で古参の『大魔王』である。
【種族:魔族 名前:ディアトロス 魔力値:7500万 状態:通常
戦力値:12億2500万 所持:契約の紋章 所属:大魔王ソフィの直属の配下】。
「確かにあの化け物と直接戦うとなるとどうする事も出来ないでしょうが、この『世界』に居なければどうする事も出来ないでしょう?」
偽大臣の言葉にディアトロスは牢屋の中で大笑いを始めた。
「不愉快ですね、その笑みをやめなさい! もういいです、そこの貴方!」
偽大臣は背後に立たせていた賢者の一人に声を掛けると、直ぐにその賢者は偽大臣は詠唱を開始する。
次の瞬間『ディアトロス』は結界が張られている牢屋の中で、更にその『賢者』による
「まぁいいでしょう。貴方の処刑はもう少し先延ばしにして差し上げます。貴方がたの主が統治していた世界が奪われて行く様をゆっくりと見届けなさい!」
そう言って偽大臣とその部下の賢者は地下牢から離れて行った。
幾重にも張られた結界の牢の中で、ディアトロスは顔を歪めながら口を開く。
「あのソフィが、
(大魔王ソフィの真の恐ろしさを知らぬ若造めが……。我ら力ある大魔王が何故に数千年もの間、
……
……
……
ソフィのいた世界『アレルバレル』の地で暗躍する者達の事など知る由もないソフィは、転移させられた『リラリオ』の世界で今日も大好きなレグランの実を食べていた。
現在は三大大陸の一つ『ヴェルマー』大陸にある魔族達の国『ラルグ』魔国で生活をしていた。このラルグ魔国の王となってからソフィはすぐに動き始めた。
ヴェルマー大陸の三大魔国と呼ばれた『ラルグ』『レイズ』『トウジン』魔国。
すでに復興の兆しを見せているラルグの同盟国『レイズ』魔国のシス女王と結託して、ヴェルマーにある様々な国の支援を開始したのである。
まず着手したのは『トウジン』魔国。
レイズ魔国と違いシチョウ以外の者達は殺されて、街や施設は見る影もなかった。トウジン魔国の生き残りとなるシチョウはそれでも自国へ戻りたいとソフィに告げた。
その決意を目の当たりにしたラルグ魔国王ソフィは、まず『トウジン』魔国のライフラインを回復させる為に行動を開始。
レイズ魔国のNo.2にしてソフィの直属の配下でもあるユファと、建物の修復ができる魔導士を数体派遣。
そして当初の予定では『ヴェルマー』大陸の冒険者ギルドはレイズ魔国のみという話だったのが、ソフィは『トウジン』魔国にも冒険者ギルドを設立することを決めたのだった。
そのクエスト報酬等は『ラルグ』魔国の予算から捻出。更にトウジンという国が立て直されるまでの全ての支出は『ラルグ』の魔国王であるソフィが肩代わりする事となった。
それだけに留まらず『トウジン』魔国に新たな娯楽施設として闘技場を作った。戦力値で分けられたDクラスからAクラスまでのコースを選び、闘技場に登場する魔族達を倒す事でポイントを得ることが出来る。
闘技場への挑戦は冒険者ギルドに所属している事で、B以上のクラスに挑戦するには冒険者ギルドでDランク以上になる事が条件とされた。
入手したポイントは冒険者ギルド横にある報酬換金所で、報酬リストから望みの報酬と交換できる。現在はまだ報酬リストが出来てはいないが、今後は議論を交わしながら生活を行うのに必要なモノが作られていく予定である。
そして闘技場の各コースに出てくる魔物や魔族は、ソフィの配下の中から希望者が選ばれた。
皆、ソフィの役に立ちたい者や、自身の修行の成果を試したい者。単純に自らの実力試し等を目的としていた。
現在はまだ報酬リストが出来てはいないが、Aクラスのボスを倒すと特別ボーナスとして、レイズ魔国の女王『シス』と一日デート券。
Bクラスのボスを倒すとレイズ魔国のフィクス『ユファ』との一日デート券が発券される事となった。
これは当初報酬リストになかったモノだったが、男女問わずに『レイズ』の民達が熱烈に希望を促した物で自国ではなく『トウジン』魔国で開催されるという事であれば、誰もが平等に『シス』女王と宰相の立場にある『ユファ』とデートが出来ると興奮混じりに報酬に推されたようであった。
この報酬は期間限定の報酬であり、闘技場が完成した月限定の報酬とされた。
(※勿論これは、二人に許可を取った上での報酬である)。
シスとユファが報酬の対象となる事を許可した理由は簡単であった。何故ならAクラスのボスは龍族の始祖である『キーリ』であり、Bクラスのボスがその報酬となっている『ユファ』なのである。
ボスが誰か知らされておらず、デートの相手が美人な上に一国の女王とNo.2の二人であった為に彼女達目当てで『レイズ』と『トウジン』の冒険者ギルドに魔族達が殺到して、次々と加入者を増やす結果を生んでいくのであった。
信じられない程に加入者が増え続けていく為に、ユファは顔を引きつらせていたが『トウジン』魔国の復興の為だと目を瞑る事にしたようである。
(※因みにこのヴェルマー大陸の報酬の噂を耳にした、
…………
トウジン魔国の王となったシチョウは、トウジンにまた魔族達が集まり始めた事で、同盟となったラルグ魔国の王ソフィに感謝の念を抱いた。
国と国とが協力を行い自由に行き来する事が可能となり、前時代までの争い等はもはや完全になくなったといっていいだろう。
これこそがソフィ達が成し遂げようとしていた『ヴェルマー』大陸の真の姿であり、目指した形であった。
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