第2話

いや興奮した!!!

だって見たこともない生き物が私に話しかけてくるんだもん!!

それは、私がその世界の全てに感動しつつ、森の不思議な植物に夢中になっていた時の話だ

がさり… 草を踏み誰かが近づいてくる気配…そして伸びる小さな影…

私は顔を上げ、気配の正体を見た…

「え…」

そこにいたのは背丈は子供ほど、指輪物語のフ〇ド染みたローブを頭まで纏った生き物だった… 

だが何よりも目につくのはその相貌だ。少女のように長いまつ毛大きな水晶のような眼は一つ。鼻はいまのところ見当たらない…。そしてローブの袖から伸びる何本ものぬるりとしたしっぽのような器官… 場所的に腕なのかこれ?

受け入れがたい姿だが、何とも言えない愛らしさを放っているのが不思議だった…。

少なくとも人間ではない…

「きみぁた どぅあ はじむぁ かう」

だが何かを伝えようとしているのは確かだった

彼…と言ってもいいのか? 

彼は必死で触手を動かし、私に何かを伝えようとしている…

どうやらおびえているようだ…

「わたぁ~し てきじゃ~な~い だいじょ~ぶ」

手を大きく広げ、寝転がる。

敵意がないことの現れだ…

さすがに無理があったか…?

「ううう… 」

彼は少し不審げにうなると

ちょいちょいと触手を動かし、灯りのともる森の麓をさした

そして私の手を触手でぐるりと一巻きし、歩き出す

恐らく手を握っているのだろう… 私は一体どうなってしまうのか… 恐ろしさもあったが、それよりも興奮でいっぱいになっているという事実に、自分でも少し呆れた。

そうして不安と喜びを抱えながら、摩訶不思議な生き物に手を引かれ、私は村へと向かったのだった。

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言葉も文化も違う異世界に転生したけどジェスチャーと根性で意外となんとかなりそうです @anko37564

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