言葉も文化も違う異世界に転生したけどジェスチャーと根性で意外となんとかなりそうです

@anko37564

第1話 

私は、ある雑誌の旅行特集記事を書いてるライターだった。

記事の為ならあっちへ飛びこっちへ飛ぶ!仕事とは言え世界中を旅できるのは楽しくてたまらなかった。

でもわたしが他のライターと違うのは…英語が全くできないってことで…。

最初はもう全然売れなかったけど、私は生来の思いきりの良さとジェスチャーで渡り歩いた!

何より私が手話通訳士の資格を持っていたのも大きかった。むしろそれが全てではなかろうか。

そしたら案外なんとかなるもの。でたらめライターのジェスチャー旅行!!なんて記事を持たせて貰えるようになって、

原稿料は低いけどそれなりに順風満帆の人生だった。

終始過去形なのは、私がもうライターじゃないからってこと。

端的に言えば、もう死んでる。

想像よりもあっけないものだった。

どれだけ苦しいかなんてものはきっと言っても仕方ないし、あんまり聞こえのいいものじゃないだろう。

だから特に話すことは無い。走馬灯も、悲しみも考える間も無かったから。

残して来た母親や仲のあんまり良くない彼氏、仕事仲間のことについて思いを馳せられたのは、

死んでからしばらく経ってのことだった。

この時点でだいぶおかしいと思う人もいよう。

死んでからってもの考えられるの?とか いやそういうものなのか?とか

分からない…死んだことなんてないもの。

じゃあここってあの世? あの世にしては現実感が…

私は、死んだはずだった…確かに…。

運悪くゴロツキどもの銃撃戦に巻き込まれて…いや、運悪すぎでしょ…

私は思わず頭を抱え…抱え…?

頭が…ある…。お見苦しい表現をして申し訳ないが私の頭はB級映画ばりに血しぶきをまき散らし吹き飛んだはずなのだ。

うーん…どうなってるんだろう…。

私は、ゆっくりと目を開けた。

そこに広がっていたのは、見たこともない世界。

端的に言えばファンタジーだ。

人の何倍もある大木が地を這い、うねり、天をつく。

やわらかく茂った苔がしっとりとした冷気を放つ。見たこともないキノコの群生地に、輝く花たち。

「す…すごい!ナ〇シカ!も〇のけじゃん!!」

「脳死…? それかやっぱ臨死…? 幽体離脱とかすると幻が見えるって言うし…」

信じがたい光景ではあったが、私には確かに手足もあったし、はっきりと認知もできていた。

何よりも旅行好きの私にとってはそうした恐ろしさや疑念を全て爆発四散…させるほどに素晴らしい光景…

言ってて気持ちが悪くなってしまった…

全てふきとばs… 

ああとにかく!その素晴らしい光景は私の好奇心をを駆り立てるに十分だったのであった。

私は死んだはずなのに背負ったままのリュックをしっかりと背負いなおし、

見たこともない異世界へとゆっくりと足を踏み出したのだった。

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