1-31 2匹の龍
ニアは何故全弾防がれたのか理解できないようで、積極的な攻撃から一転様子見をしている。
「ふーん。天才少女って言ってもこの程度か」
「天才少女相手でも私たち三人が力を合わせれば簡単ね」
「うんうん」
三人はわざとニアに聞こえるように大きな声で言った。
ニアは下唇を噛み悔しそうな顔をしている。
魔法だけでなく、挑発も息があっているようだな。あんな底辺な挑発に揺さぶられるのならニアもまだまだだ。少し声をかけてやるか。
「ニア。そんな雑魚相手に何分かける気だ?相手は一人のようなものだぞ」
急かすついでに軽くアドバイスをくれてやった。これで気がつかないようであれば俺が片付けてやる。
俺は軽く体操をして身体を作る。
「助け船かい?」
横に座っていたピカトルも立ち上がる。
「これ以上長引いたら俺の心が持ちそうにないからな」
「そんなこと言って優しいな。カイくんは」
「手出し無用よ!」
戦闘真っ只中のニアが声を張り上げていた。
「っけ!もう一気に片付けようぜ」
「この調子で一気に三人とも負かせてあげる」
「うんうん」
相変わらずのコンビネーションで挑発をしてくる。
「あんなこと言ってるけどどうする?」
「あの状況で俺たちの会話を聞けているんだ。多分大丈夫だろう」
手詰まりだったら返事する余裕など無いだろう。そろそろ勝負がつくかな。
三人が魔法陣を展開する。
あの魔法陣は
「へぇ、私の魔法をパクるなんていい度胸ね。どっちが強いか試してみましょうかっ!」
ニアも
三人が放つのと同時にニアも発射する。ニアの無数の
そこらへんの魔眼を使えないやつからしたら勝負はついたと思うだろう。明らかにニアのほうが数では勝っている。しかし、あの三人はただパクっただけではないようだ。隣にいるピカトルは気付いているのか気になるところだが試合に見入っているようだからな後で聞くとするか。
ニアの無数の炎の槍は三人を四方から攻撃する。しかし、三人の
三人が同時に口を開く
「これで終わりよ!!うんうん」
ニアが炎に包まれる。
「これはただの
「うんうん」
炎が収まるとニアは気絶していた。
「Dクラスとはいえ、なかなかやるようだな。舐めてかかったことを謝ろう」
俺は気絶しているニアに近づき回復魔法をかける。
「ここからは俺が相手をしてやる」
身体中から密度の濃い魔力を放つ。一般人がこの魔力を向けられたら防衛反応ですぐ体調不良を起こすだろう。
「っけ!これがどうした」
「私達三人にはどうってことないわね」
「うんうん」
三人はなんとか気合で耐えているようだった。その証拠に三人の手は固く握られている。
「素晴らしい姉妹愛だ。そんなのを見せられてはこっちも本気が出しづらいぞ」
三姉妹は驚いたような目をする。
「なんで私達が姉妹だってわかったの?」
「この魔眼でお前たちの魔力をよく見れば一目瞭然だ」
三姉妹は互いに抱きしめ合う。
「変態だ!」
「きもすぎるよ」
「うんうん」
調子を戻した三姉妹は魔法陣を展開する。
「「「
魔法陣から再び炎の龍が現れる。
「その魔法いいな。真似してもいいか?」
一応念の為了解を得る。
「できるならね」
「できっこないだろうけど」
「うんうん」
俺は、魔力を右手に込める。
「了解は得た。いでよ、炎の龍!!
右手の魔法陣から炎の龍が現れる。
「嘘だろう」
「私達が三人がかりで制御している魔法を一人で発動させるなんて」
「うんうん」
三人は俺の召喚した炎龍を見上げている。
「では行くぞ!!」
2匹の龍はぶつかり合う。衝撃が熱風となって観客席を襲う。
観客席から無数の悲鳴が聞こえてくる。アナウンスがなる。
「皆さん、危険ですので観客席から出るか熱源からできる限り離れてください」
外野がうるさいな。これでは集中できやしない。結界でもはってやるか。
魔法陣を展開し赤色の結界をはる。そして、三姉妹に声をかける。
「これで外野を気にせず試合に集中できるだろう」
三姉妹は絶望的な顔をして、後先考えずに龍で攻撃してくる。俺もそれに対応して龍で攻撃する。
しかし、同時に結界を展開しているので龍だけに魔力を送ることが難しかった。
「っお!おしてきてないか」
「私達が勝ってるわよ」
「うんうん」
三人は笑顔を俺へ向けてくる。
仕方ない。試したことが無いがやってみるか。
俺は両手に魔法陣を展開する。
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