1-25 謎の古代遺跡
学年別対抗戦の前日、森の中で発見した洞窟を探索していた。
ここはどうも自然にできたような洞窟ではなさそうだな。わずかにだが人工物のような痕跡がある。相当前に作られた祠なのかもしれないな。
俺は松明を片手に真っ暗な洞窟を進んでいた。
俺の足音と複数の狼の足音だけが響いていた。
この狼たちはあの夜に捕まえた狼だ。あの後肉を分けてあげたのだがこの通り懐いたというわけだ。狼は俺よりも聴覚や嗅覚が優れているためこういう何も見えない場所ではもってこいだな。
ガコンッ。
何かが動く音がしたと思うと目の前から槍や剣などが飛んでくる。いわゆる罠というものだろう。何かしらこの奥にあるに違いない。
俺は軽々と罠を避ける。狼たちも危険を察知し綺麗に避けていく。
しばらく歩くと細い道が開けた。俺は壁伝いに進んでいくが先は無く丸い部屋のようになっていた。
俺はその部屋を入念に調べた。
なんだ、これは絵なのか?
その部屋には壁一面に壁画が描かれていた。
ドラゴンのようなものに立ち向かう魔族や人族が描かれている。それ以上に目立っていたのが天井の描かれている翼を生やした天使のようなものだった。
これは、この土地の歴史を描いたものなのかもしれないな。
興味深く壁画を眺めていると後ろをついてきていた狼たちが何かを伝えるように一斉に吠え出した。
狼たちは部屋の真ん中に顔を向け吠えている。
狼たちが吠えている方向へ松明の明かりを照らすとそこには謎の階段があった。
俺は階段の奥の方を見たが、暗く奥が見えない。
俺は狼たちに待てと命令すると意を決し階段を降りていった。
ひたすら降り続けてはいるが終わりが見えない。
いったいどこまで続いているんだ。
疑問に思った瞬間、右足をついた床が沈むように感じた。すると歯車が動くような音が響きだす。
今度はどんな罠が仕掛けられているんだ。
警戒していると階段が動き出し、段差がなくなり道が出来上がった。そしてその道の向こうから光が差し込んできていた。
外に繋がったのか。
警戒をしつつ道を進んでいく。
出口に近づくと光が一層強くなり、視界が真っ白に染まった。目が慣れてくると色を取り戻していく。
俺は眼前の光景に言葉を失った。
光の向こうには古代の街が広がっており、そこには大小様々な大きさをした白骨体がこちらへ逃げるような形で転がっていた。
大きな門を潜ると商店街が広がっていた。
栄えていた当時はそこそこ賑わいのあった商店街なのだろうな。
周りを注意深く眺めながら進んでいると、急に視界が開けた。建物が壊されており巨大な何かがが通ったような道ができていた。
なるほどな。この街は何かに襲われてこのように滅んだというわけか。しかし、なぜこんな地中深くにこれほどの文明が発達していたんだ。
しばらく歩いていると街の中心あたりに城のような建物があった。しかし城の周りにどこか違和感を覚えた。
この城の周辺だけ異様に無傷だな。
城に近づこうとすると何か壁のようなものに邪魔をされて前に進むことが出来なかった。
魔眼を凝らし城を見ると城を中心に白い結界が張られていた。
「
少し後方へ下がり、結界に向かって魔法を放つ。結界に衝突すると花獄火は音も立てず結界に吸い込まれるように消えていった。
対魔法の結界のようだな。
俺は軽く準備運動をし、結界に向かって拳を叩き込む。数秒後俺は後方へ飛ばされていた。なんとか受け身を取り、結界を見るが傷すらついてはいなかった。
拳の威力がそのまま俺に返ってきたようだな。この結界は物理攻撃も効かないのか。
俺はこの結界に手も足も出なかった。なんとか結界の穴を探ろうと魔眼を凝らし一通り見て回ったがどこにも穴は見つからなかった。
「魔法も物理も弾く、白い結界。魔法も物理も無理となるともしかしたら通行証のようなものがあるのかもしれないな」
俺は商店街へ戻り魔眼で通行証を探した。
一時間ほど探索したが通行証のようなものは見つけることが出来なかった。しかし大きな蛇の抜け殻のような物を見つけた。
なんだ。これは蛇なのか。
一応魔力を見てみるが、なんの反応も無かった。
普通の抜け殻のようだな。これの本体は一体どこへ行ったんだ。一通り街を見てみたがこのサイズの蛇が通れるような道はどこにもなかった。
城へ戻ろうと来た道へ振りかえろうとしたその時、視界の端で何かが動いたように感じた。
何かが動いた気がする方向を注意深く凝視するがなんの反応もなかった。念のため魔眼を働かせるがなんの魔力も感じない。しかし、なぜかしらそこから、目が離せなかった。
次の瞬間、風を切る音が聴こえたと思うと、何ものかから奇襲を受けた。
完全な死角からの攻撃で何もできず、まともに一撃をくらった。受け身を取ろうとするが威力を殺しきれず失敗する。
肋骨が数本持っていかれたか。
俺は自分が元いた場所に目を向けた。
そこには先程まで抜け殻だと思っていた蛇がこちらへ敵意剥き出しの赤く光を放つ鋭い眼光を向けていた。
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