第2話
放課後。
クラスではこれから部活に行ったり、バイトだったり、そのまま帰ったりしようとしている。
わたしは部活も週一だけの活動なので、帰ろうとしていたときだった。
「
「いいけど。また文房具を見に行くの?」
でも、わたしもついていったりしている。
たまに文房具を買うのに、ちょっとだけ聞いたりもしている。
たぶん、うちより流行りの文房具を知ってると思う気がする。
「蒼空はノートとかって、何を使ってるっけ?」
今日はノートコーナーにいた。
「Campusだけど? ドットの入ったやつで、古典と現代文、英語は幅が広いやつを使ってる」
「やっぱり、使い分けてる? 理系と文系」
「うん」
それから慧は他のノートを見に別の棚へと歩いていく。
シャーペンの替え芯が欲しくなり、シャーペンのコーナーに行った。
替え芯を持って、会計をするためにレジに行く。
そのときまでは慧の存在を忘れ、気がついたのはお店の入口に来たときだ。
「蒼空!!」
いきなり慧が怒鳴って、周りの人たちも驚いてしまっていた。
「ちょっと。慧。みんなに迷惑じゃん!」
慧に注意するように声をかけた。
「お前がどっかに行くからだろ? 探したんだからな」
慧が言ったことはほぼ正論で、よくそれが原因で怒られることもある。
反論も言えないので観念して謝ることにした。ほんとは不本意だけど……。
「ごめんなさい! 慧、どうしても買いたかったんだ」
そのとき、笑いをこらえる声が聞こえてきた。
「フハハッ! あ~、おかしい~。マジで怒ってるって思ってたのかよ……」
うつむいていたときにポンッと頭をなにかが乗っかったような感覚があった。
「え? ちょっと! 慧」
わたしは頭に手をやると、そこには大きな慧の右手が置かれていた。
頭に手を置いたのを知って、思わずびっくりして心臓がドキドキしている。
「お前、顔が赤いぞ?」
無自覚でこんなことをしてくるの、少しだけびっくりするだよなぁ……。
「うるさいなぁ……帰ろ。慧」
わたしの心臓が破裂しそうになるくらい、ドキドキしまくっている。
何気なく慧は頭を撫でてきたりするから、それで余計意識してしちゃう。
小学生の頃からずっと好きで、それを言い出せずにいた。
いままで言おうとしたけど、なかなか言えずに高校生になっちゃんたんだよね。
同じクラスになれて嬉しかったけど、いきなりドキッとするようなことをするから……心臓に悪い日があったりもする。
電車に乗ってるときに、慧の顔をチラッと見た。
学校でいつも見るような表情じゃなくて、まるで別人に見えてくるんだ。
いつも近くにいるのに、なんか不思議な気持ちになる。
わたしはふと頭のなかに思い浮かんだ話題を聞いてみることにした。
「慧。進路、決めた?」
「え? まだ決めてない、ギリギリまで考えてくつもり、でも文系の学科を志望にしてるけど……たぶん、バラバラになるぞ」
慧はまだ決めてないって言ってたけど、その表情は悲しそうにしていた。
「そうだよね」
地元の最寄り駅のホームに降りると、改札口を抜ける。
慧も後ろからついてきている。
「慧? どうしたの?」
「ん、あ。何でもない……」
何か少しだけ悲しそうな表情をしていて、ここ最近よく見るようになっていたんだ。
わたしはその理由が知りたかったけど……あんまりにも悲しそうな表情をするから、それを聞きにくかったんだ。
その理由を相談してきたら、聞くつもりでいる。
家に戻ると、わたしは部屋でベッドに座る。
「どうしたらいいんだろう?」
それがもどかしくて、ちょっとだけモヤモヤしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます