第85話 さよなら素材……
俺達は大きな魂が2つ迫っている現場に走って向かっている。
「レオ──これって、ドラゴン?」
かなり近付いてきた為、アナスタシアの探知魔法にも引っかかったようだ。
「そうだな。いつかのリベンジしてやるっ! 全て金に替えてくれるわっ! はっはっはっ」
俺はウキウキ気分で走りながら話し返す。俺のテンションは絶好調だっ!
おっ、空に1匹金が──いや、レッドドラゴンがいるな! もう1匹どこだ?
ズゴオオオォォォォォンッ
視線を空から地面に移すと、5人の女の子達がもう1匹のレッドドラゴンと接敵していた。
「アナ……あれ大丈夫そうか?」
見た光景的に全然大丈夫そうではないんだが、ここ異世界だしな。もしかしたらと思って聞いてみる。
「まぁ、死んではおらんだろうが……おそらく──助けんと全滅するかのぉ」
話し方が出会った頃のようになってる!? あれか! 真剣な時はそれで行くのか!?
──って、なんかヤバそうだぞ。
飛んでるレッドドラゴンが魔力を口に集中してる。
あのまんまブレスくらったら死ぬんじゃなかろうか?
「ちょっと行ってくるわ」
「うむ。気をつけてな」
俺は三日月鎌鎖を出し、闘気を使って速度を一気に加速させる。
ぎゅあああぁぁぁぁっ
近付く前にレッドドラゴンは魔力を込め終わり、ブレスを放とうとする。
ちっ、間に合わないか────仕方ない。
「撃たせるかっ!」
レッドドラゴンの周囲には鎖が大量に発現し──絡めとり、そして────
「圧壊」
ドジャッ
……地竜の時も思ったけど……相変わらず──この技はエグいな。
「その技ヤバいのぉ……。ミンチじゃぞ……」
後から追い付いたアナスタシアからも、そんな感想を貰う。
──おっと、今はそれより襲われてた人達だな。それにまだ──もう1匹飛んでるしな。
近付き──声を掛ける。
「こっ、これは──「すいませーん」──ん?」
槍を持ってる女性が驚いている所に言葉を被せてしまったが構わないだろう。
俺が声を掛けた事により、5人の女性はこっちを見る。
なんか……更に驚いた顔をされた……何をそんなに驚いているんだ??
まぁいいか。
「なんかヤバそうだったので手を出しましたが──あっ、この肉塊貰っていいですかね? 後──出来れば──あそこに飛んでるトカゲも貰えたら嬉しいかな?」
1匹目はミンチになってしまった! 俺のせいでなっ! 素材は残念だが──── だが、尊い命を救えたから良しとしよう。
だから──俺は催促するっ! もう1匹トカゲをくれとっ! 後、三日月鎌鎖の性能を確かめたいしな!
「……あぁ、構わない……」
「やったっ! ラッキー。アナっ! 俺は金を稼いでくるよっ! そしてお前達を養うっ!」
了承も得れた為、換金して金が手元に来る想像をし、俺は大鎌を構えて──つい、ニヤニヤ笑いながら言ってしまった。
おっと、あのミンチを無限収納に入れとかないとなっ!
そんな俺の様子を見ながらアナスタシアは苦笑している。
そして、助けた女の子全員がその笑みに頬を染めて見つめてきた。
────殺気!?
これは────ドラゴンじゃない!? アナか!?
俺は振り向くと般若ような物がアナスタシアの背後に見えた気がした。
めっちゃ怖いぞ?!
鳥肌がヤバいっ!
でも、アナが睨んでるの俺じゃなくて、そこにいる女性達だし──
──俺は怒られないよね?
あー俺が怒られたらどうしよ?
ぎゅあああぁぁぁぁっ
レッドドラゴンが咆哮する。
「煩いっ! ──今考え中だっ!」
後の事を想像してる最中だっ! こっちゃ死活問題なんだぞ!?
俺は左手から穿通鎖を出し──レッドドラゴンに向けて放つ。
そして、一連の鎖は避けようしたドラゴンの翼を貫通し──絶叫する。
俺は鎖を振り解こうと暴れている。
ドラゴンの皮膚って確か凄い硬いから弾かれるだろうと予想したが、普通に鎖が突き刺さった。
修行した甲斐があったと思いつつ────地獄の日々を思い出し、遠い目をしている。
ギュルアァァァァァァッ
その間にレッドドラゴンは魔力を口に溜めてブレスを放って来た。
「「「「「逃げてっ」」」」」
女性達は俺に逃げろと言って来るが────これ逃げたら君達死ぬよ?!
若干、アナの視線が怖いが……人助けだし大丈夫だろ。うん大丈夫だ。
俺は何も悪い事してないからな!
俺は闘気を三日月鎌鎖に込め──
斬撃を飛ばすように意識し──両手に持った大鎌の刃を左側に持っていった後──空目掛けて横一文字に振る。
凄まじい衝撃と共に斬撃が、迫るブレスに向かい放たれる。
接触した瞬間──斬撃はブレスを真っ二つにしながら進む。
そういえば──闘気込めた時ってかなり衝撃波があったような……。
ギャアァァァァァァ
斬撃はレッドドラゴンに衝突し────
────断末魔と共に無残に飛び散った。
その瞬間──
「素材がぁぁぁぁぁっ!!!」
そんな俺の叫び声がその場を支配した。
────闘気じゃなくて魔力にしたら良かった……。
俺は四つん這いになる。
「紐になるかのぉ?」
そんな言葉に反応し、顔を上げる。
アナスタシアは俺に──満面の笑みを浮かべていた。
……いや、まだだっ! まだ諦めるのは早いっ!
「きっと肉が売れるはずだっ!」
そう例え────素材が全滅だとしても肉は大丈夫なはずだ。それに吹き飛んだレッドドラゴンの鱗とかもその辺に転がっている。
だから俺は紐確定ではないっ!
「何の肉かわからんもんを買い取ってくれるといいがのぅ」
笑みを深めるアナスタシア。
「ぐぬぬ……いや、鱗がそのへんに────!?」
その瞬間、アナスタシアが固有魔法【磁力】を使い、素材を一気に集め────
何するんだ?
集めてくれるの??
「──業火。これで紐だのぉ」
────焼いたぁぁぁぁぁっ!?
ひっ、酷い……。
俺は再度、勝ち誇った顔をするアナスタシアを尻目に──四つん這いになった。
「あのっ……」
槍を持った女性が話しかけてきた。
「……はい……なんですか?」
俺は立ち上がり、返事する。
「私はフランといいます。あの──好きですっ!」
「「「「好きですっ!!!」」」」
「はっ?」
何故告白される!?
──そうか!? 俺、この人達からしたら命の恩人か!? 恩人補正が入って格好良く見えてるに違いないっ! 吊り橋効果って奴だな。
しかし、これだけの人数にいきなり告白されるなんて前世と今世含めて初めてだな。
正直嬉しいっ!
「あっ、え〜〜っと──「断るっ!!!」──!?」
俺は照れながらも断ろうとしたら──
──アナスタシアが断った!?
俺はアナスタシアに視線を向けると──有無を言わせない迫力がそこにはあった……もちろん俺は黙って肯定の意を表す。
断られた女性達は一瞬唖然としたが、直ぐに再起動する。
「何人たりとも我等の道を閉ざす事は許さんっ! 男を我が手にっ!」
「「「「男っ!!!」」」」
なにこれ!? 目がギラギラしている……まるでフローラのようだ。
この世界の女性って肉食系なのか!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます