『勇者の証』が『股間』に出たけど、ボロンする勇気がないので偽勇者に追放される ~今さら本物の勇者だと気づいても、もう遅いこっちは美人姫騎士とのんびり旅を進めるんで~
第172話 人員不足、『少ない』じゃなくて『居ない』
第172話 人員不足、『少ない』じゃなくて『居ない』
王都の大臣達は頭を抱える。
まだ王都の一般市民には伝えていないが、魔王軍の大軍勢が、この王都へ向けて進軍してきている。
なんとかしなければならない・・・
そもそも兵士の数が、圧倒的に不足している。
王都の貴族達の圧倒的ナカヌキによって、兵士達の給料はみそっかすだ。加えて、装備や設備もボロボロ、パワハラモルハラも隠蔽に隠蔽を重ねて、もう無法地帯・・・
こんなブラック職場なのが、徐々にバレているのか・・・聞こえの良い『国家の明るい未来を守ろう!』とかお題目を唱えて、募集をかけても、誰も集まらない!
ああ・・・あああ
兵士の質もすこぶる悪い。
魔獣一匹討伐もできない腰抜けばかり、役に立たな過ぎる。
金にがめついが、『ロスト・ロイスの傭兵達』に依頼するという手もある。
奴らは魔獣が住む山岳地帯の国家の出自だけあって、戦闘技術だけはピカイチだからな・・・
$$$
ロスト・ロイスの傭兵の交渉人は腰の低い男だった。後ろには、仮面を被った兵士も数人、彼らが噂に聞く『仮面部隊』だろうか・・・
説明を聞くごとに、徐々に交渉人の顔が厳しくなっていく。
最終的に、価格を提示すると、
彼はふふっと笑って息を吐く。
「いやぁ、これっぽっちの『端金』で、魔王軍と命賭けて戦えと?・・・本気で言ってるんです?」
その底冷えする様な冷たい声に、その場の空気が一気に重くなる。
「仮に・・・ご希望の報酬を出すと言ったら、いかほど?」
気圧されながら小さい声を出す。
「そうですねぇ、これくらいですか?」
さらさらとインクに書いたその価格に大臣達は驚く。
「こんな国家予算レベルの金、払える訳がないだろ!」
そして、激昂する。
その様子に、呆れ返った様に、男は言葉を続ける。
「貴方達、まだ、『自分達が置かれている状況』を全く理解していないと見える・・・この場所もう少しで『消し炭』になりますよ?」
そして、これ
男は懐から、紫色のコインを出す。
「これは魔獣通貨、マジカって言いましてね、これが『お金』って呼ばれるモノになって・・・あんたらが、人々騙して溜め込んでいるモノは、もうすぐただのガラクタになる・・・言ってる意味、わからないでしょうね」
大臣達は馬鹿にされたと感じ、さらにわめき立てるが、交渉人の男は意に返さない。
まるでこっちの言葉が、犬が吠えている程度にしか聞こえていないと大臣は理解した。
しばらくあと、
交渉人はにっこり微笑む。
「申し訳ありません、口が過ぎた様で・・・今後とも、是非ロスト・ロイスの傭兵部隊をご贔屓に」
そう言って去っていった。
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