第168話 新しい仲間



「私も、ユシア君のパーティに入れてくれませんか?」




龍炎熱氣陣と冷や水で整って、

夕食を食べて、歓談している頃、意を決して、アヤシが言い出す。



!?



思ってもみない申し出に周囲はどよめく。


「駄目よ、勇者パーティは歴史的に4人って決まりがあるし」


(え、多い方が良いのでは?)


フェリの言葉に、ユシアは、疑問を呈する。



「俺らは観光旅行に行くんじゃ無いんだが」



「そんなん、わかってます!」

センシの言葉を顔を赤くして否定する。


聞けば、アヤシは市民の出で、両親は魔獣討伐師であるらしい。魔獣討伐の勝手もわかっているし、無詠唱の攻撃魔術だって使える。


にもかかわらず、兎寮に在籍しているのは、学園の魔術の授業がどうにも不合理に感じるからであるそうだ。



「あと、私は、『軽い回復術』とか使えますよ」




『軽い回復術』・・・




その言葉に一同は反応する。


「はは、『軽い回復術』程度、甘い甘い・・・私なんてほぼ瀕死でも、全回させられる回復術が使えるぞ」


ソウリオは自慢げに鼻で笑う。



「一応聞くけど、その回復術、『たりら』になったりしない?」



マジョの問いにアヤシは首を傾げる。




「あの・・・『たりら』って何です?」




!?




副作用が無いという話を聞き、

再び一同にどよめきが走る。


この先のパーティの戦力を考えると、どう考えても、『たりら』より『軽い回復術』の方が使える。


こんなのソウリオOUT、アヤシINした方が良いに決まってる・・・



ちょちょちょ・・・



ソウリオは急に動揺し出す。

センシとマジョの冷たい視線から、言いたい事を感じ取ったソウリオは、顔を青くして地面に伏せる。


「やめて、私を捨てないで、お願い!」


その場で泣いて土下座している。



「まぁ、アヤシは女の子だし、危険な事多いから」



ユシアはアヤシがパーティに入るのは反対らしい。


(女の子だしって、私らの事を何だと思ってるんだ)


マジョはユシアの言葉に引っかかる所はあったが流す。



マジョはユシアを見る。

アヤシの熱い視線がセンシに向かうのを見るたびに、ユシアはダメージを受けてるようだ。



(まだ、引きずってるの?)



結局、アヤシの加入は見送りになった。理由はパーティ内のギスギスを防ぐためなんだろうか。



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