第166話 水の神の力
『冷や水』
それが、水の神のがユシアに新しく与えた力だ。発動すると、空中に、大きな水の塊が現れる。
その水は清らかで澄んでおり、飲んで良し、『龍炎熱氣陣』で熱った身体を冷まして良し、多種多様な使い方ができる。
ドゥモ魔術学園、広場の一角、ユシアは『龍炎熱氣陣』を発動する。
あつぅい・・・
腰に布を巻き、
岩に腰掛けて、じっと熱さに耐える。
周りに居るのは、センシとマジョとソウリオと
それから、アヤシとビシャもそこに居た。
「くぅ、久々に沁みるなぁ」
ソウリオは、おっさんみたいな事を言っている。
学園に来てから塞ぎ込んでいたが、今はすっかり機嫌が治ったらしく、好きな魚料理をガツガツ食べて、獅子寮の子達とも仲良さそうに喋っている様子だった。
「あの・・・こんな野外で、こんな薄着で、しかも男女一緒は・・・流石にあかんかと」
アヤシは、赤くなりながら、恥ずかしそうに身をよじる。
「そんな事無いぞ、アヤシ殿・・・ユシア殿は、私達に邪な感情を抱くような人間ではない」
・・・え?
蜘蛛の一件から、ソウリオの自分に対する信頼と尊敬がなんか限界突破している気がする。
「そ、そそ、そうだな」
(ユシア、めっちゃ目が泳いでるわ)
マジョは、草陰から、こちらを覗く不良っぽい男子生徒の気配を気取る。
(・・・ユシアさんがあられもない姿で)
(なんて凄い筋肉・・・)
(エッッッッ!!!)
(やめろォ!俺らのユシアさんをそんな『ふしだら』な目で見るんじゃねぇ!!)
・・・そっちかよ
十分温まった後、『冷や水』を発動させる。
「冷やし過ぎちゃ、ダメよ、逆に身体に悪いんだからね」
ビシャは、手取り足取り細かくユシアに『冷や水』の使い方を教える。
(・・・なんか距離感近くない?)
ユシアは、微妙に、こそばゆい。
今日初めて会ったぐらいのはずなのに、なんだこの距離感・・・
「何恥ずかしがってるのよ、私達、もうそんな他人じゃ無いでしょ?」
・・・そうなの?
フェリの方を向いてもフェリは何も答えない。
水の神から色々口止めされているせいで、ユシアは、ビシャの正体さえ知らない。
$$$
熱い熱い『龍炎熱氣陣』の後、
『冷や水』の中に飛び込む。
熱い熱い砂漠の荒野を歩き疲れ果てた状態から、
一気に、水の世界が広がって
まるで広い広い湖面に立っている様な感覚に陥る。
(でもまぁ、これ・・・ただのサウナの水風呂・・・)
「ただの水風呂と一緒にしないでちょうだい!」
そんな事を考えていたら、ビシャに怒られた。
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