第163話 真夜中の攻防



前回の補足





水の神ビシャが力を与える為には、勇者の証に直接触れる必要があるが・・・当の勇者の証は、ユシアの『股間』にあった。


ピュアピュアな水の神が公に『ソコ』に触る事など到底できなかった。


だが、使命を放棄する事もできぬ。


よって、ビシャは、毎夜毎夜、兎寮の周りをウロウロして・・・



昨晩はやっとの思いで侵入までできたが、妖精に邪魔をされたという訳であった。




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夜、兎寮

ユシアが寝静まった頃、


フェリは、こっそり起きて、外の人物に合図を送る。


軋む廊下を慎重に歩き、ビシャはユシアのベットまでたどり着く。



「よし、今夜こそ、長きに渡る戦いに、終止符を打つわよ!」


「頑張って下さい!」



・・・



ユシアの寝姿、

簡単なシャツと下着姿で、

足とか太ももとかが見えている。


ごくり・・・


ビシャはユシアの身体を眺めながら、喉を鳴らす。



(こ、これが男の人の身体・・・)



指でツンツンと突く。

(硬い・・・)

更に手で撫でてみる。

自分の身体には無い感触である気がする。



・・・



「・・・あのー・・・もしもし?」



きゃああああ!!



ビシャは妖精の声で我にかえって叫ぶ。

(声、声、抑えて下さい)


(ご、ごめんなさい・・・うう・・・でも、別に男の人の身体に触って『変な気持ち』になって無いんだからね!)



・・・



仕切り直す。

作戦を立てよう。

勇者の証は『地肌』に触れる必要がある。つまり、パンツに手を突っ込まなければならない。


意を決して、ベットの下、太ももの側からの侵入を試みる。


(妖精!・・・これ普通に、セクハラで犯罪行為じゃ、ないかしら?)


(世界を救う為です、水の神様!・・・大義の為に些細な行為は許されます!)



・・・きゃあああ!!



ビシャは、びっくりして手を引っ込める。


(どうしたんです?)


(今、パンツの中で『やわらかい何か』に触れたわ)



・・・ああ、それ



フェリは、なんとか水の神を落ち着かせようとするが、真っ赤になったビシャは、その場にうずくまる。


(もうダメ・・・こんな恥辱を受けるくらいなら・・・いっそ世界なんて、滅びてしまえばいいのよ!)


(いいわけあるかーい)



それから、何度も再トライを繰り返す。ビシャは何度も悲鳴をあげているが、当のユシアは起きそうにない。


(いや、起きたら困るけれども、ここまで騒いで全然起きないのも、それはそれでどうなの?)



結局、ユシアに水の力を無事渡す事には、成功した。


それを成し遂げた時、空は、明るくなり始めていた。




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