第162話 水の神の苦悩



水の神、ビシャ




ドゥモ湖近辺に住まう彼女は、水の神を信仰する貴族の助けを借り、その養子として、ドゥモ魔術学園に潜入していた。


恐ろしい蜘蛛の魔獣が暗躍する場所だったが、『勇者に自身の力を分け与える』という責務を果たす為にここへ留まった。


ここで一つ注意点がある。

水の神は、他の神と比べて少し未熟である為、



力を渡す時は、勇者の証の紋章に 『直接触れる必要』がある。



まぁ、そんなの、瑣末な問題・・・

勇者の証が顕現するのはだいたい『手の甲』なのだから、ちょっと握手をすれば良いのだ。



そして、現れたユシア一行・・・



(ようやく来たわね!・・・遅かったじゃない・・・何度か蜘蛛の化け物に正体がバレそうになってホント怖かったんだから!)



ビシャが勇者一行の来訪に安堵したのも束の間、ある問題に気づく。




・・・は?




は?

は?はぁあ?

ちょっと待って、この勇者・・・


どこに勇者の証をつけているのよ!?



ビシャは、愕然としたのだった。





$$$





「はい、質問良いですか?」

「はい、そこの妖精」


フェリは挙手し、水の神に質問する。


「たかが人間の股間を触るぐらいで、なぜ躊躇するんです?」


フェリの感覚からすれば、全く理解できない。



妖精界隈では、仲の良い友達なら、挨拶で股間を触ったりする事もある。

「ウェイ!ウェイ!」

「ちょちょ、やめろし〜」

みたいな



・・・



ビシャは少しの間黙る。

そして、徐々に顔が赤く紅潮し、



「お、男の人に、そんな、はしたない真似・・・できる訳無いでしょ!」



ビシャは、とてもウブ貴娘きむすめだった。



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