第137話 ドゥモ魔術学園の日常



カーンコローン!




城壁に囲まれた塔の天辺の大きな鐘の音が鳴り響く。

ユシアは、目をこすりながら、二段ベットから起き出す。


「早くしないと朝食に遅れるぜ?」


周りの声に急かされ顔を洗い、制服に着替える。

大急ぎで、朝食をかきこみ。



教室へ



「ユシア君、宿題やってきた?」



横の席の『アヤシ』という女の子がこっそりユシアに耳打ちする。

ほんのり彼女から良い香りが漂うが、なるべく気づかない様に振る舞う。


「あー・・・あー・・」


その様子を察して、ユシアに宿題を見せてくれる優しいアヤシ・・・



「ありがとう、アヤシ、今度お礼するから」

「ええよ、転入したばっかりやから、仕方ないよ」


アヤシは優しくにっこり微笑む。




$$$




ドゥモ魔術学園


ここは魔術に優れた先代勇者が創設した学校であり、200年の歴史がある。



ユシア一行は、今、この魔術学園に潜入している。



ドゥモの湖の湖畔、水の神の神殿があった場所は、魔術学園になっている。


フェリの話では、水の神は、所在地を変えることを好まず、『姿形を自由に変える事ができる』ので、学園の誰かになりすましている可能性が高いらしい。



(普通に魔王軍に拘束されているのでは?)



マジョの情報では、この施設自体も魔王軍から厳しくマークされている場所だった。


拘束されてるにしろ、隠れているにせよ、逃げてしまったにしろ・・・


正面から「水の神、探しに来ました」なんて表明して突入するのは危険・・・どこに魔王軍のスパイが、どこにいるかわかったものではない・・・



マジョは、どこからか、魔術学園の制服4着と偽造身分証を取り寄せる。



「よし、魔術学園へ『潜入』しましょう」



マジョの一声で何故か潜入する事になった。



・・・



という事があり数日が経過している。ユシアはすっかり学園生活に馴染んでいる。



(学園生活・・・いい)



「ユシア、今日はあっちら辺を探すわよ!」


フェリは、ユシアの上を飛び回っている。



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