第134話 戦闘斧愛好会の暗躍



ユシアの行く道の傍に『宝箱』が置いてある。




無邪気に駆け寄るユシアとソウリオを見て、マジョは呆れる。


(いやいやいや・・・)


確実に罠でしょ、道端に『そんなモノ』落ちてたら普通警戒するし、怖い怖い。



「やったー!水とパンだー!」





・・・は?




こんな現象は一度や二度とでは無い。度々起こる。


当初は斧を持った怪しいオッサンがコソコソ暗躍して、差し入れをしてくれていたが、



ここ最近はウチらをストーキングする人数が増えている。



全員、無駄に気配を殺す能力が高く、ユシアは彼らの存在に気づいていない。


彼らは、食料、水、道具、お金などをこっそり置いては、ユシアが取るのをじっと待っている。(普通に面と向かって渡せば良いのでは?)というツッコみは野暮か・・・



特に彼らはユシアが戦闘して『斧』を振るう時に、集団で集まってきてじっと観察している。


(う、うおおおおお!!)


歓声をあげたくてあげたくて、仕方がない様子は伝わってくるが、必死に口を押さえて、耐えている。



ある日、



草むらでガサゴソしていた一人が、ユシアに見つかってしまう。


「あ」


滝の様に汗をかくその人、


「そんな場所に居ると危ないですよ」


ユシアは、さっと手を握り、彼を引き上げる。



「!」



その人はびっくりしながら、お礼を述べて逃げて行く。


マジョは少し心配したが、

(ずるいぞ、お触り禁止なのに!)

(その手、俺にも触らせろ!)

(うるせぇ、お前なんかの手で汚してたまるか!)


なんか、別の意味で仲間内で争っていた。



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