第132話 マジョの考察



さてさて、私の故郷のロスト・ロイスの話をしよう。




高山国家ロスト・ロイスは、資源や農地が乏しく、貧乏国家である。


『仮面部隊』と呼ばれる少数精鋭の部隊が有名だが、その実、ただ兵隊が少ないだけである。



魔王領とも近い、が、要所でもないという微妙な立地・・・ただし、『風の神の神殿』がある。



魔王の使者が、真っ先に王宮を訪れた際、ロスト・ロイスの王は悩んだ末、



「風の神?何のことです?」



王は・・・

何も知らない風を装った。


「えー何のことか、わっかんないなー」


そして、バカのフリをし、風の神を魔王軍に売った。



しかし、風の神殿には、既にもぬけの殻で、何も無かった。


風の神には『風見』という未来予知の様な特殊能力があり、国が自分を裏切る事を予知していたらしい。



そもそも、風の神は気まぐれで、神殿にいる時などほとんどない。



つまり、今現在のロスト・ロイスの立ち位置は、魔王側にも王国側にも肩入れしている状態である。






$$$






さてさて、このマジョの仮面部隊として、本国から仰せつかった任務は、『当代の勇者を見つけ、その力量を図る事』である。




ユシアは、魔王率いる魔王軍に勝てるか?




マジョの見立ては『100%不可能』である。



ユシアは謎の攻撃力はあるが、それ以外、防御力も、機動力も、射程も、戦闘経験も・・・何一つ足りていない。



そして何より、味方が少なすぎる。



200年の平穏

平和ボケし過ぎて腐りに腐ってしまった内政、そして、魔王軍の内部からの侵略・・・


王国内部だけでもかなりの中枢まで魔王軍のスパイが潜り込んでいるという噂だ。



ユシアの味方は、妖精とセンシとソウリオくらいか・・・



私は、どっち派でも無い。

いよいよとなれば、ユシアの寝首を掻いて、魔王軍に寝返る事だって、きっと平気でやるだろう。



・・・




まぁ、そもそも・・・


ユシアが『勇者』だと確定も、していないんだったか・・・



ユシアの証がある場所は・・・おそらく・・・




マジョは、じーっとユシアを見る。



ふー



確認方法は、また今度考えよう。



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