第131話 魔王に関する文献
ロスト・ロイスの古代図書館には、『魔王に関する文献』が幾つか残っている。
「魔王様は、なんと偉大なのだろう」というプロパガンダ色の強い書物ばかりの中、『ある書籍』は興味深かった。
マジョは思い返す。
著者は、『当時の魔王の最側近を務めた人物』で、彼は、死ぬ間際、筆を取った。
『魔王の人物像について』が主な内容だ。
魔王様に仕えていた当時は、周りの雰囲気に気遣って、言えなかったけど・・・という事で、以下その『リアルな実情』が赤裸々に語られている。
まず、魔王という人物は『約束を守らない』・・・いくつかの人間の村と和平交渉を結んだりしたが、翌日には、油断したその村を焼き尽くしたらしい。
当時は、「残忍な魔王様、素晴らしい」なんて感激していたけど、普通に考えて『クズい行為』だったと振り返る。
あと『ミスしても絶対に謝らない』し『ミスを他人に押し付ける』
勇者相手に大失態を犯した時、全然関係ない部下にその責を負わせ、処刑している。
さらに、『他人から受けた些細な被害を、ずっとずっと、ねちっこく覚えている』
しかも正確に覚えておらず、大げさに話を盛って、ネチネチ恨み言をわめき立てる。
特に勇者に負け始めた時からメッキがどんどん禿げていった気がする。
この辺りからは、魔王への尊敬の念などカケラも無くなっていた、
それでも、ちょっとでも自分が侮辱されたと感じると、怒り出すので、「魔王様万歳、魔王様万歳」と、殺されない様に必死に子犬の様に尻尾振って吠えるしかなかった。
正直今だから言える、勇者が魔王を殺してくれて胸がスッとしたと
そんな様な悪口の羅列がつらつらと・・・
この著書はその後、魔獣国内で大ヒットセラーとなり、多くの人が共感して続編が何冊も出たとかいう話。
魔王が顕現した今現在は、絶賛『梵書』扱いだが・・・
(こんな人物との平和的交渉は無理かな?)
ロスト・ロイス情報部からも、だいたいこれに近い人物像だとの報を受けている。
そうそう・・・
つい最近も魔王に媚び売りに行って、壊滅させられた商人がいたと情報が回ってきていた・・・ピンハーネって名前だったかな?
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