第70話 グエナ火山への道
センシは地図を広げ、全員に今後の旅程について説明する。
ここから数日で、途中の『ホウロビの街』を経てグエナ火山の麓にある『ギリギーリ城砦都市』に到着する。
ギリギーリ城砦都市は有名だ。王国内で唯一、直接的に魔王軍の侵略を受けているからだ。
「特に『ギゼンシヤ』って魔族が悪名高い」
殺気をギラつけせながらセンシは呟く。ギリギーリ城砦の侵攻を仕切っている敵軍勢のトップの名前だ。
別名『正義狂い』とも呼ばれる彼らの王国への被害は甚大だ。
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「一方的に力を行使するのは、悪である」
ギゼンシヤは自軍の魔獣を集めて演説をおこなう。
「だが!この侵略には、我々には大義がある!」
「200年前、我々魔獣と魔族は、『勇者』によってこの地を追われ、追放された、我々は『被害者』なのだ!」
「我々『被害者』は、200年前に、人間達に迫害され、虐殺されてきた・・・報復しなければならない!奴らに思い知らさねばならない!」
「そうだ!そうだ!」とヒートアップする魔獣達。
ギゼンシヤは静かに片手を上げて、叫ぶ。
「正義は我にあり!正義は我にあり!」
その叫びと共に周りの声はますます大きくなっていく。
その後方の群衆の輪に入り損ねた魔獣がポツリと呟く。
(てか200年前の事なんて誰も覚えてないだろw)
小さな小さな声・・・
それを発した直後、ギゼンシヤが放った鉄球が飛来して彼に直撃する。弾ける血飛沫に周りの魔獣達は恐怖で顔を歪める。
「ギゼンシヤ様万歳!魔王様万歳!」
その声は怒号のように響き、ギリギーリ城砦の兵士たちの戦意を削いでいく。
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