第67話 強襲準備




鴉部隊は、アイダ村に駐留するユシア一行の様子を遠くから伺っていた。





確かにバジリスクの巨体を吹き飛ばすそのパワーは驚嘆に値するが・・・


そう、まともにぶつかれば、勝てないかもしれない。だが、まともにぶつかる必要など何処にも無い。


暗殺・・・


これが我が鴉部隊の戦法だ。

暗い夜に音も無く空中から襲撃する。どんな相手もなす術なく急所を貫かれ、みっともなく叫び声を上げてコトキレる。


魔族の中では弱いとされて、馬鹿にした奴らはみんなみんなこの方法で葬ってやった。致命傷を受け、死の間際に命乞いをするあいつらの顔を思い出すたび、ククク笑いが止まらない。



最近は人間をたっぷり痛めつけ拷問して、泣き喚くのを眺めながら、最後はバジリスクの餌にするのが楽しかったなぁ、あのアイダ村の奴らを夜な夜な間引いていく、今日はどんな悲鳴をあげるのか、どんな情けない姿を晒すのか、仲間内で賭けをして予想するんだ。



・・・



誰もが寝静まった夜更け過ぎ、

アイダ村の郊外に鴉の魔獣たちが静かに集まり始める。久々に骨のありそうな標的に舌舐めずりしながら、目はニタリと笑っていた。




$$$





同刻、センシはパチリと目を覚ます。(周りの連中はまぁ当然ぐっすりか・・・)

無言で剣を腰に刺し、外套を羽織る。



「ねぇ・・・手伝おうか?」



マジョの声、


(へぇ、こいつも気づいたのか・・・)




「必要ない、俺一人で十分だ」




「・・・あ、そ、じゃあ、宜しく」


そっけなく返事をして再びグースカとマジョは眠りにつく。


その余裕ある態度に若干困惑しつつ、センシは部屋を後にする。


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