第66話 チー牛抹殺会議
ユシアの存在は、現段階では『チー牛を超えるチー牛』として認識されている。
フドゥ直属の部隊の幹部たちは突如として現れたその脅威の対策に知恵を凝らす。
「さて、今日の議題は、どのように『チー牛を超えるチー牛』を抹殺するか?というアジェンダだが・・・」
「チー牛をコロセ!チー牛をコロセ!」
血気盛んな若い魔人が発狂気味に叫ぶ。
「まぁまぁ、早る気持ちはわかるが落ち着きたまえよ」
「あと補足しておくが、奴は『チー牛を超えるチー牛』であって、我が軍のチー牛の事では無いぞ?」
「それさー、もう略して『チー牛』で良くない?呼びづらいんだよねー」
「賛成だ!それに我が軍のチー牛(笑)とかもう、どうでもいい存在だ」
「確かにw」
「では改めて、どの様にチー牛を抹殺するかについてだが・・・」
「名前ひとつ変えただけで、途端に驚異度が減った気がする」
「俺が行く!人間をもっと殺させろ!!」
「俺だ!俺だ!」
騒ぎ出す魔獣たちのボルテージはどんどん上がっていく。
その中で一匹の黒い羽に生えた魔獣がスッと一歩踏み出る。
「フドゥ様、どうか、我が『鴉部隊』にチー牛抹殺の大命を任せてもらえないでしょうか?」
鴉部隊はフドゥ直属の暗殺特化部隊、今まで闇夜に紛れて幾人もの人間を葬って来た。
・・・
静まり返る周囲
フドゥの反応に視線が集まる。
フドゥは・・・
否定も肯定もしない。肯定すれば、もし失敗した時責任を取らされる。成功した時、実はあの時肯定していた、そう立ち回るのがフドゥが魔王軍で出世して来た手法だからだ。
黒羽の獣人は一礼してアジトから出て行く。
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