『勇者の証』が『股間』に出たけど、ボロンする勇気がないので偽勇者に追放される ~今さら本物の勇者だと気づいても、もう遅いこっちは美人姫騎士とのんびり旅を進めるんで~
第52話 斧を持ったおっさんが、全力疾走でこっちに向かってくる
第52話 斧を持ったおっさんが、全力疾走でこっちに向かってくる
でゅふふふふふ・・・
魔王軍幹部の『ドロロ』は土人形の中に隠れながら声を抑えて、笑う。
彼の戦法は何体もの土人形を操り、
相手が根負けするまで、粘り、徐々に徐々に、なぶり殺すというものだ。
絶対に焦らない。
慢心だってしない、余裕ぶって姿を晒すなんて、する訳がない。
自分の弱さはしっかりと理解している。
幼い頃から、いじめられっ子だった。
俺に暴力をふるったクズの顔は、殺すまで片時も忘れず
ずっとずっと根に持って恨んできた。
丹念に念入りに準備して
追いつめて、命乞いを始めても構うことなく
真綿で首を絞めるように殺すのだ。
でゅふ・・・
でゅふふふふ・・・
あの斧を持った男
自分の土人形を一撃で破壊するあたり、
恐ろしい資質を持っている・・・
だが、ここまでだ。
疲れているのか、一撃の威力が明らかに落ちている。
あの『不細工ギヤル』もやられた、あの『糞チー牛』を倒した男を始末できる。
きっと俺は魔王様に褒められる。
ああ・・・あああああ・・・・
俺のォ!!!勝ちだァ!!!
ドロロは必至に声を抑える。
だがその表情は感激のあまり歪みに歪んでいた。
・・・・・・・ォぉォぉォぉオオオ!!!
微かに誰かの声が聞こえる。
耳鳴りかと思った声は、だんだんと大きくなっていく。
誰かが叫びながら、こちらに近づいてきている?
ドロロは
土人形を通して外を見る。
人間の・・・おっさんだ。
半裸の斧を持ったおっさんが、こっちに全力疾走して向かってきている。
「ユシア!オノノンさんよ、オノノンさんがこっちに向かってくるわ!」
「なんで?」
妖精が騒ぎだす。
ドロロは嫌な胸騒ぎを感じ。
塔の周辺に設置していた土人形を数体、仕向けるが、
「邪魔だ!!」
男の体当たりにバランスを崩し土人形は倒れる。
そして、塔の外から外縁にいるユシアを視認したオノノンは
『大事そうに抱えていた斧』を全力で投げつける。
「これを!!使え!!!」
全力の投擲、
塔の真下から放たれたソレは、
回転しながら綺麗な弧を書いて飛んでいき
ユシアの手にしっかりと収まった。
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