第53話 斧・竜巻




ユシアの手にオノノンの斧がしっかりと握られている。





武器スキルは

その武器を使用する時限定で発動する技だ。


その武器に特化した縛りが、その能力を底上げする、

そしてそれは同時に、


『良い武器であればあるほどに』その力は飛躍的に上昇する。




ユシアは襲ってくる土人形に対して攻撃モーションに入る。

気のせいかもしれないが、武器が自分に語り掛けてくる気がした。


『今持てる、全力をぶつけて来い』と




爆音と共に土人形は容易に切断され

そのまま虚空を切り裂き、


そこから『空気の渦』が幾重にも分かれて周りの土人形に飛んでいく。


轟々と音を立てて渦巻くそれは、土人形たちを容易に押し倒していく。




(あの渦、聞いた事がある、伝説の斧使いの話、奴が一振り斧を振っただけで、周りに嵐が起きて周囲を薙ぎ倒していくという・・・これがスキル『斧・竜巻』か・・・ああ・・・あああああ・・・俺は今、伝説を目にしている!!)

嬉し涙がこらえきれず、そのまま歓喜に飲まれオノノンは悶える。





馬鹿なッ!!





ドロロはひゅーひゅーと息が細く顔面蒼白になる。

一撃で・・・たった一撃で・・・どれだけ持っていきやがる。



落ち着け、取り乱すな

冷静に土人形を復活させて機を待て・・・



ドロロは魔力を崩れた土人形に送り込む。


(!?・・・復活しない?)



土人形は復活しない・・・謎の力に阻害されて・・・力を送り込むことが出来ない。



なんだ?なんだ?




二発目の爆音

ユシアの二撃目でほぼ半壊する土人形たち



まずいまずいまずい



このままじゃ、土人形ごと体を真っ二つにされる。

嫌だ、嫌だ、嫌だ。



「嫌だーーー!!!」



泣きべそをかきながら

土人形から顔を出し、後ろを向いて一目散に逃げだす。



「センシ!」



「ああ、わかってる、あいつが本体だ!」




二人は逃げるドロロを追いかける。






$$$







フェリはユシアたちが去った後

土人形の残骸を調べる。


気になる力の反応を見つけたからだ。



「これは・・・『勇者の退魔の力』の反応!」



さっきユシアの股間の『勇者の証』が淡く光っていたのは、気のせいじゃなかったのね。


ユシアは少しずつだけど

勇者の力を覚醒させている。


いい兆候だわ!




喜ぶフェリを、じっと見つめるマジョ




彼女は仰向けになりながら、ユシアの姿を見ていた。

その視線の先、マジョは光るユシアの股間をしっかりと目撃していた。






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