第21話 圧倒的にパワーが足りないッ




オラッ・・・・オラオラオラオラッッッ!!!!





牛鬼は腕力に物をいわせ、

鉄の棍棒をブンブン振り回す。



ひと振りするたびに周囲に竜巻の様な暴風が吹き荒れ、


うらッツツ!!!


掛け声と共に振り下ろされた棍棒が地面に衝突すると爆音と共に

地面がグラグラと揺れる。



センシは地面から伸びる影魔法の腕でなんとか防ごうとするも

あっけなく砕かれ、攻撃を避けるのに精いっぱいだ。




「おーおーおー、逃げてばっかりかよッ!、情けねぇなぁ、イケメンがよォ!!」




牛鬼は下品な笑みを顔いっぱいに浮かべて

センシを煽り散らす。


棍棒を振り回した隙を狙って剣で攻撃しようと近づいて来た所を

蹴り飛ばす。



門に派手に激突する、センシ




「今のは、骨何本か逝ったな、くくく」




ふー

一息ついて

牛鬼は空を見上げる。





「なぁ・・・どうして、もうすぐ人間が魔獣に滅ぼされるか・・・わかるか?」





「・・・」

センシは返事をしない。

聞こえているかどうかも、もはやわからない。




「それは『パワー』が足りないからだ!・・・パワー!パワー!パワー!力こそが正義、パワーこそが心理だからだ!」





パワーで負ける奴に存在価値はない!


お前の様な魔術の・・・小細工で生き残ろうとするのは、みっともない雑魚のする事なんだよ!




高説垂れる高い笑いする牛鬼の隙をついて

センシは両手を組んで強く握る。


すると牛鬼の足元に黒い影が集まり、そこから巨大な二本の手が牛鬼を覆い尽くす。



「影魔法、十指呪縛」



禍々しい魔力の腕が牛鬼を押さえつけ、

メキメキと音がする。

周りの魔獣たちの戸惑う声



だが、牛鬼は、ぐっと全身に力を込めると



「小賢しいんだよ!」



大声を上げながらそれを引き千切る。




「・・・なんだよその顔・・・もしかして今のしょぼい技が『切り札』だったか?」




「くそ」


牛鬼は鉄の棍棒をゆっくりと振り上げる。




「チー牛にひれ伏せ」




そう言って振り下ろそうとした瞬間

牛鬼とセンシの間に何かが落下してくる。



それは、おおよそ戦いに来たとは思えない軽装で、手に『斧』を持った男だった。



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