第10話 村長一家の没落
ユシアの追放された村は名前を『トールツリー』という
山間の大樹の森にある静かな村
名産品は『木材』であり
トールツリーで採れる木材は、
金属に匹敵するほど固くて質がいいと評判であった。
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ザーコが王都に旅立って、数日後、
村長は昼食を取りながら
人知れず、にやける。
息子も勇者に選ばれ、
厄介者のエイユの息子も追放できた。
いいことづくめだ。
村の老人は「エイユさんには借りがある」とか
ぬかして最後まで抵抗する者もいたが、
あんな老いぼれ共の時代は、とうに終わっているんだよ
「がはははは!!」
笑いが止まらない。
更にトールツリーの知名度が上がったことで、『木材の注文』も うなぎ登りだ。
今まで上から目線で買い叩かれていたが、今日はこっちが上から目線で言ってやった。
「これからは・・・今までの倍、いや、3倍の値段を払ってもらわないと、割に合いませんなw」
商人共の苦虫を噛み潰した様な顔、
ざまぁ、ざまぁ、愉快愉快
「村長!大変です!」
慌ただしく割って入ってくる屋敷の使用人に少し気分を害する。
「どうした?」
「木が、切れません」
「は?」
使用人の話だと新しく雇った屈強な「木こり」たちの誰も、森の木を切ることが出来ないらしい。
「そんな馬鹿な話があるか!」
「じゃあ今までどうやって木を切ってたんだ?」
「それは・・・ユシアが・・・居たから」
はん?あの穢れた血の息子にしか切れないだと
ちょっと貸してみろ
斧を木こりから取り上げて
おおきく振りかぶる
ふん!
金属を殴った様な鈍い音と共に全身に走る衝撃・・・
・・・・ッ!!!
手が手がーーーー!!!!
みっともなく地面を転がる村長
それは、村長一家凋落のきっかけに過ぎなかった。
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