第6話 村追放
俺の親父、エイユ=ロートルは村の英雄で
よく村に出没する魔獣なんかを退治してみんなから慕われていた。
強くて優しい自慢の親父・・・だった。
ある日、王都からの依頼で意気揚々と出かけていった数日後
事態が一変する。
聖教会の話だと、親父が何人も騎士達を斬り殺す大罪を犯したという事らしかった。詳しい事情はわからない。
村八分にされてからも、母親と細々と暮らしてきた、母が病で死ぬ前の最期の言葉も「父親を信じてあげて」だった。
その時は「わかった」と答えたけど、到底本心じゃあなかった。
俺の本心は今もずっと変わらず、親父を恨み続けている。
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「この俺様が偽物だと?」
ザーコは怒り心頭の顔でこちらにやってくる。
(なんでそんなにキレてるんだ?)と思うぐらいの心頭ぶり
「そうか、お前、俺が勇者に選ばれた事を嫉妬してるんだろ!」
「お前みたいな大罪人の血を引く汚らわしい人種が選ばれる訳がない、身の程をわきまえろ!」
ユシアだってここまで言われれば血が騒ぐ、
叫びたい、俺だって親父の様な穢れた奴の息子に生まれたくなかったと
大声で叫びたかった、だが、母親の言葉がそのたびにちらついて離れない。
ザーコの剣幕に
ざわめく、村人たち・・・
「そうだ、俺が偽物だって言うなら、本物の証を見せてみろよ!!!」
一見して、ザーコが正しくて
俺がケチをつけているように判断したらしい。
ザーコの取り巻きや俺を嫌う村人からもヤジが飛ぶ。
「そうだ!」
「そうだ!」
ぐぬぬ・・・
こうなったら・・・
股間のあれを見せてやる
ボロン!
ボロン!
頭の中にエールが聞こえる。
ズボンに手が伸びそうに・・・・・・って・・・なるかーい!!
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結局、
村長の逆鱗に触れ
あと7日の内に村を出ていけと勧告された。
(あー今まで穏便に生きてきたのにー・・・)
ユシアの頭は真っ白であった。
「・・・ごめんね、私のせいで」
フェリはしゅんとして申し訳なさそうに頭を垂れていた。
フェリも悪くないわけではないけれど、
まぁ、だいたい、親父のせいだと思うことにした。
「元気出して!・・・ユシアは強いから、本物の勇者を見つけたら、勇者の仲間として雇ってもらえるように頼んであげるわ」
「強い、俺が?」
「あの『人面樹』は魔王軍の中でもかなり強い部類なんだよ!」
「そうと決まれば、気合い入れて勇者を探知しなきゃ」
集中して呪文を唱え始めるフェリ
・・・
フェリは
ぐるんとこちらを向く
目怖ッ
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