第12話 ギルドマスター
少しするとリノアが戻ってきた。
「大変お待たせしました。ご案内いたしま
す。こちらへどうぞ。」
ジャムに背中を押されリノアに案内されギルド奥へと進む。
進むと階段があり昇ると正面に大きな扉がある。
リノアが三度ノックをし
「マスター、サックさんをお連れしまし
た。」
「さぁ中へどうぞ」
扉を開けたリノアに促され中へ歩を進める。
「し、失礼しま…す」会釈をすると前方から圧力が俺に押し寄せる。
後ろでリノアが顔を強ばらせ息づかいが荒くなっているのが見えた。
左腕をリノアの前に出し向かってくる圧力と同レベルの圧力を発し中和する。
リノアの呼吸が落ち着いてきたので相殺できたようだ。
この圧力の元を見据え俺の発する圧力を強めながら、
「出会い頭にいきなり威圧してくるなんて、
もしかして歓迎されてません?」
更に圧力を強めていくと、
「わ、悪かった!勘弁するのじゃぁ!」
正面から涙目の幼女が現れ大きな机をペチペチ叩いてわめいている。
威圧を止めて幼女を見ると頭に二本の小さな黒い角がある。リノアが幼女に駆け寄り涙の溜まった顔をハンカチで拭いてあげている。
「もう、マスター!いきなり威圧するなんてひどいじゃないですか。」
「だって…あの英雄の孫って聞いたらためし
たくなるじゃんよ」
グズりながら抗議しつつこちらを向くと、
トテトテと近寄ってきて目の前で深々と頭を下げた。
「いきなり威圧してごめんなさい」
「あ、いえ…こちらこそ過度に反応してしま
いましてすみませんでした」
幼女は勢いよく頭を飛び上げてリノアの方を見た。どうも逆に謝られるとは思わなかったらしい。
「り、リノア…こやつ…」
「サックさんはそういう方なんですよ。」
此方に再度顔を向けマジマジと見つめてくる。
「マスターそろそろ自己紹介をなされて
は?」
「はっ、そうじゃった。
こほん。
ワシがこのギルドのマスターをしとる
【竜人のラドラ】じゃ。よろしくのサッ
ク。」
手を差し出してきたので握手をする。
「よろしくお願いします。えっと…呼んだ理
由を教えてもらえますか?」
「まぁ立ち話もなんじゃ座って話すとしよ
う。リノアお茶」
「はいはい。少しお待ちください。」
リノアがクスクス笑いながらお茶の準備を始める。
テーブルを囲むように置かれたソファーに腰を落とし向かいにラドラが座りリノアが準備したお茶を俺とラドラの前に置きラドラの後ろに控える。
「さて、リオルカの事じゃが…」
ギルドマスター、ラドラが真面目な顔で話し始める。
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